千葉県・佐倉市の国立歴史民俗博物館で開催されている「伝統の桜草」展に行ってきました(展示は5月6日まで)。この時期、各地で行われるサクラソウの展示は春の風物詩です。
江戸時代、日本の園芸文化は大きく発展しました。サクラソウもその一つでした。第11代将軍、家斉の文化・文政期を中心に、旗本など武士によってサクラソウ愛好の輪は広がったといわれます。
サクラソウは日本国内で独自の発展を遂げた花でした。一重咲き、桜色の濃淡から白色の花が醸し出すどこか儚げな雰囲気が、猛々しいもののふの心の琴線に触れたのでしょうか、愛好する江戸の武士たちは品種や栽培技術を競い、慈しんだ花を桜草花壇に飾ったのです。
野田さくらそう会代表の茂田井宏さんによれば、「サクラソウは江戸期以来2,000種を数えますが、現在、栽培されているのは400~500種」とのこと。また、「以前はなかった大輪八重咲きの新品種が作出される一方、古い品種が消えている」とも話してくれました。茂田井さん曰く「嫋嫋(じょうじょう)たる魅力をもつサクラソウ」ですが、ややうつむきかげんに咲く薄紅色の花を見ながら、伝統園芸を継承する難しさを感じさせられました。
国立歴史民俗博物館「伝統の桜草」展
http://www.rekihaku.ac.jp/exhibitions/plant/project/index.html
(写真1)桜草花壇はサクラソウ独自鑑賞方法。木枠に障子紙を貼って囲いをつくり、そのなかに5段もしくは6段のひな壇を設けてサクラソウを段飾りした。たとえば5段花壇ならば38鉢(8・7・8・7・8鉢)、33鉢(7・6・7・6・7鉢)となる。サクラソウはひと鉢に4芽植える。写真は33鉢(7・6・7・6・7鉢)
(写真2)大輪八重咲きの新品種「磯牡丹」(作出:一江豊一氏)
(写真3)自生地の田島ヶ原(さいたま市桜区の桜草公園)では4月上旬、野生のサクラソウが満開だった
(元『趣味の園芸』編集長 原田)
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<4月28日メールマガジンにて配信>
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