皆さんは「秋桜」という漢字を、どう読んでいるでしょうか。
この読み方について、6月に刊行された笹原宏之著『NHK出版新書 漢字に託した「日本の心」』に興味深い内容が載っていました。本書は日本人がいかに漢字を使いこなしてきたかを捉え直しているのですが、第1章のなかの「日本人は当て字が好き」という項に「あきざくら」「しゅうおう」「コスモス」の例が紹介されています。
1977(昭和52)年10月、作詞・作曲さだまさしによる山口百恵の新曲「秋桜」がリリースされ、大ヒットしました。楽曲では「秋桜」を「コスモス」としているのですが、以来、その読み方が広く定着したという話です。
パソコンで「こすもす」と入力すると「秋桜」と変換するということなので、早速、試してみました。Macマシンは2番目の変換候補として表示し(Windowsマシンは変換候補として出ませんでした)、スマホや携帯電話も2番目の変換候補でした(使用している日本語入力システムにもよりますが)。
一方、岩波書店の新村出編『広辞苑』(1997年1月10日・第4版第6刷)を調べてみると、「あきざくら」という読みで掲載され、「(花の形が桜に似るので)コスモスの異称」と解説されていました。小学館の『園芸植物大事典』では「アキザクラ」を別名としていました。
著者の笹原さんによれば「当て字は意味ばかりか雰囲気も伝える」のだそうです。薄紅色のコスモスをモチーフにしみじみとした母娘の姿を歌った楽曲「秋桜」でしたが、楽曲が描いた情景と花のイメージが重なり、「コスモス」という読みが一般化していったのかもしれません。
『漢字に託した「日本の心」』 (NHK出版新書 438)
Amazon
http://www.amazon.co.jp/dp/414088438X
NHK出版
https://www.nhk-book.co.jp/shop/main.jsp?trxID=C5010101&webCode=00884382014
(写真左)コスモスには澄みきった青空がよく似合う
(写真中央)コスモス‘サンセットイエロー’。東京・立川市の国営昭和記念公園にはいろいろなコスモスが咲いている
(写真右)花弁の縁取りが印象的なコスモス‘キャンディストライプ’( 国営昭和記念公園)
(元『趣味の園芸』編集長 原田)
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<9月22日メールマガジンにて配信>
【園芸LOVE 原田が行く】は、「みんなの趣味の園芸」スタッフであり『趣味の園芸』テキスト元編集長の原田による園芸エッセイです。メールマガジンとFacebookページにも掲載しています。
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