2000(平成12)年春、21世紀を前に「趣味の園芸」のご隠居先生、小笠原左衛門尉亮軒さんと米村浩次さん、岩佐吉純さん、小笠原誓さんは、江戸の好事家にならい、私家版「二十世紀名花百撰見立競」作成を楽しんでいました。20世紀の園芸を語る植物120余を並べた「花の番付」です。
ご隠居先生曰く「半年間、園芸植物への思いを語り合い、面白かった」名花百撰。4人の園芸家ならではの視点ですが、11月号で通巻500号を迎えた『趣味の園芸』テキストの、創刊以来40年の歴史を物語る花のオンパレードでした。東西の両横綱はバラ‘ピース’とユリ‘カサブランカ’。小生はこれと肩を並べる大関、シンビジウム・メロディーフェア‘マリリンモンロー’(Cymbidium Melody Fair ‘Marilyn Monroe’)に注目しました。新人編集部員時代、テキスト誌面をいつも飾った花です。ふっくらとしたやさしいピンクの花が日本中で愛されました。‘マリリンモンロー’の普及に貢献した向山蘭園(山梨・甲州市)の向山武彦さんに当時のことを聞いてみました。
「‘マリリンモンロー’は1967(昭和42)年、東京農業大学講師の三浦二郎さん(故人)と一緒にカリフォルニアのナーセリーから購入した実生株のなかの一つです。発表は73年、苗の販売は74年、ミウラ・メリクロンを設立して‘マイフェアレディ’など4品種とともに始まり、店頭での販売は78年でした」(向山さん)
日本が経済大国として繁栄を謳歌した70~80年代、栽培技術の進歩でランは身近な存在になりました。シンビジウム人気も急上昇し、その中心が‘マリリンモンロー’だったのです。1973(昭和48)年創刊の「趣味の園芸」テキストとときを同じくして登場した‘マリリンモンロー’。昭和の園芸人気を支えた、もう一度、見たい花です。
(写真左)「二十世紀名花百撰見立競」。「趣味の園芸」の歩みを物語る120余の園芸植物がズラリ(資料協力:小笠原左衛門尉亮軒さん)
(写真右)シンビジウム・メロディーフェア‘マリリンモンロー’(画像は編集部の古い写真ファイルからようやく掘り出した1カット)
(元『趣味の園芸』編集長 原田)
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<10月21日メールマガジンにて配信>
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