園芸日記の電子書籍化のためにiPadを購入した倉重です。8月上旬には発行できると思いますので、お楽しみに!さて、今回はセイシカの名前の由来の続きです。
今日の話題62 セイシカは聖紫花なのか?
さて「セイシカ」という名の音は変わっていますね。聞いただけでは、どんな意味なのか分かりません。図鑑を見ると、みな「聖紫花」の字を当てています。樹木大図譜(1975 上原敬二)には、「せいしくゎ、明治15年に八重山列島で発見」とあり、他の名前としてヤヘヤマセイクヮ、クルマツツジがあげられています。音で聞いて分かりにくい名前は、近代以降のものでしょうし、この文章からも明治に発見されたことが分かります。地元の人は当然知っていたと思いますので、古い名前はと思って「日本植物方言集成」(2001 八坂書房編)を調べると、奄美大島の「やまざくら」があげられていました。
さて、そのセイシカですが、牧野富太郎先生の「日本植物志圖篇」に和名について「八重山列島所産ノ品ヲ以テ花戸ノ所謂聖紫花ト」と述べられています。内容はほぼ同じなのですが、もう少し詳しい記事が先生の「日本産ノつつじ並ニしゃくなげノ類」にありました。「田代安定氏ハ明治十八年八重山列島中西表島ノ深山中ニテ始メテ本種ヲ見出サレタガ當時同氏ハ之ヲ東京ノ花戸ニ培養スル所謂せいしくゎト別ノ種類デナイカト考ヘラレ因テやへやませいしくゎト新稱シタガ、」とあることから明治時代に花卉生産者によって「セイシカ」と名づけられたことが分かりました。さて、これが生産者のつけた名だとしたら、セイシカはもともと聖紫花ではなく、妙なる美しい花の意味を込めて、中国四大美女、春秋時代の「西施」の花、西施花だったのかもしれません。
園芸相談で電話をかけてこられた方は、セイシカは西施の花じゃないのかと質問されたのですが、植物にも古典にも詳しい方がいるものだと感心しました。明治時代のカタログでもあれば分かるのですが、手持ちの資料で調べてみた結果が以上です。う~ん、これが正解かなと思いました。
写真右:中国雲南省のセイシカ。中央:ツツジ属では普通、花芽は枝先に1つつくが、セイシカは枝の腋に複数がつく。左:奄美大島の固有種 アマミセイシカ。
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こんばんは。
返信するゴーヤのトンネルは、お盆の帰省客待ちのようですね。
三大美女「楊貴妃・王昭君・虞美人」は知っていましたが、
「四大美女」?「西施」は?でした
虞美人草はよく聞きますが、
セイシカが西施花~なるほどです。
植物の名前の由来は、結構気になります。
漢字で載っていると、読んで字の如し~理解出来ることもあります。
でもカタカナやローマ字表記だと想像できない事が多くて。
英名も辞書を引いてみたり…
まぁ~私の頭では深く考えない方が良いみたいです(笑)
hanura様
返信するいつもコメントをありがとうございます。
私もなるほどと思いましたが、西施花は案外本当かもしれません。ただ、明治十年代には、ほとんど園芸カタログは発行されていないので、確認は難しいかもしれません。まあ、新説ということですね。
カタカナだと分からないけど、漢字で見れば納得とい植物名もありますね。
こんばんは。
返信する四代美女の名前をつけられるのも納得の美しい木ですね。
きれいだなーと思って画像検索したら、なんと「西施花」のほうが多くヒットしました。
図鑑では「聖紫花」なのに。
ちょっと混乱してきました。
それに紫ではないですもんね。
グレープ様
返信するわぉ!漢名では西施花なんですね。全然知りませんでした。ネット恐るべし。
漢名の方が古いとなると新説でもなんでもないのですが、和名が中国へ逆輸入された可能性もありますので、中国の本で調べてみます。アメリカ在住の中国人のツツジの専門家がいますので、その方にも聞いてみます。
和名や漢名には命名規約がないので、いつ頃からそう呼ばれていたのかは分からないかもしれません。ツツジ属の漢名としては、「西施花」は特殊だとは思いますが(なんとか杜鵑が多い)・・・
情報をありがとうございました!
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