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日本人の園芸愛好家はPHに無頓着。
理由のひとつにゃ、日本国土は園芸に適した良質の土に恵まれ、いちいちPHなんぞ気にしなくったって、その辺で穴かっぽじって来りゃぁいくらでも園芸用土はロハ(タダ)で手に入るから。
しかし、外国じゃそうは問屋が卸さねぇ。
おいらが毎年ダイビングで通ってるセブ島なんて、土壌はサンゴの石灰岩で出来てて痩せてる(いわゆる腐葉土がごく少ねぇ)
ヨーロッパ大陸や、サボテンが自生してる北米大陸もやはり石灰質土壌の地域が多く、栽培家は強度のアルカリ性の土をピートモスを混ぜるなどして調整しなきゃならねぇ。
そうなのだよ、サボテンや多肉植物の多くは酸性の土を好むんだ。
聞いてびっくり玉手箱、
「んな筈ぁねぇよ、だってサボテンの産地は石灰岩で出来てるじゃぁねぇの?」
こう思う人が多いんじゃねぇかな。
たしかに前述のように、アメリカ・メキシコなどサボテン・アガベなんかの主要産地は石灰岩がゴロゴロ。
測ってみるとPH7.5からときにはPH8を超えるアルカリ性を示す。
それを見て「サボテン多肉植物はアルカリ性の土を好む」って思い込んでる連中が多い。
日本の昔のサボ多肉栽培家は、ほとんどそうだった。
サボテン専門書を出版するような大家でさえそう思い込んでた。
その証拠にこちとら所蔵の古いサボテン栽培指南書にゃ「用土に牡蠣粉(ぼれいこ:カキ殻)を混ぜろ」って堂々と書いてある。
中にゃ「北米難物サボテンは根で石灰岩を抱かせろ」なんてウルトラCを提唱してる先生もいた。
しかし、実際はちがう。
「サボテン多肉植物は、総じて(弱)酸性の土でよく育つ」
こいつぁ本当だぜ、経験で判って来たんだ。
現に、自生地じゃ石灰岩に埋もれて育つ(サボテンの)牡丹類や太平丸が赤玉用土(PH6~7の弱酸性~中性)でもっとも順調に育つ。
これは一体どぉゆうこった?
七めんどくせぇ理屈は置いといて簡単に云うと、
「サボテン多肉の根は、弱酸性~中性の時に肥料三元素・微量元素などを満遍なく吸収するが、アルカリ性が強まるほどこれらを吸収しにくくなる」・・・らしい。
有名なのに、サボテンの成長点が萎縮・変色する「ホウ素欠乏症」や、全体が薄い緑になる「マンガン欠乏症」がある。
昔 問題になったいわゆる「南米病」
エリオシケ・コピアポア属、ロビビア、ギムノ、テフロ属でも上記の障害が多発。
いろいろ治療を試して見て結果「ホウ酸の0.3%溶液を掛けて」症状改善したってオチ。
これらの南米サボの産地は弱酸性土壌。
北米サボより端的に発症したものと思われる。
じゃ、ひるがえって、北米の強アルカリ性土壌に自生してるサボテン多肉はアルカリ土壌でもよく育ってるのはなぜかって疑問が湧いて来るよね。
その手品のタネは、現地に降る雨。
サボテンの自生地に降るのは大抵にわか雨。
雷雨を伴ったドカ雨が降るんだ。(サンダーストームと呼ぶ)
それは、砂漠があっという間に洪水になるほど。
我が国の梅雨のようにシトシトと長雨が続く事ぁねぇ。
これはどこでもそうなんだが、雷雨は「酸性雨」なんだよっ。
とくに、アメリカ南西部の春先~夏に降る豪雨はPH3~4.5っていう強酸性。
まるで酢が降ってるみてぇだ。
乾季でノドの乾いたサボテンやアガベたちはそれを逃さず盛んに根から吸水する。
強酸性の雨は石灰岩の炭酸カルシウムと反応して中和しようとするが、大量の雨にゃとても追っ付かねぇ。
つまりサボテンたちは結果、弱酸性の雨水を吸水することになる。
だから、おいらはサボテンの水やりする時は酢を混ぜる。
(前の日記にも書いた)
あんましたくさん入れるとサボテン共も酸っぱくてしょうがねぇだろうから弱酸性にしてる。
昔からPH調整キットを使ってる。【 写真左 】
熱帯魚飼育に凝ってた時代があって、そういう事にゃ慣れてた。
まぁ、そぉ云うこった。
長々、ご精読ありがとね。
もう終わりだぃ。
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とてもよく分かりました。
返信する目から鱗です。
現地の土質では豊富に含まれているホウ素・マンガンが必要だけど、それが維持できる用土はPH値が高い。
それに近付けようとすると最適なPHよりもアルカリ性に傾いてしまう。
それを解消する為に潅水のPHを酢で下げるとは。
いつの時代もそうですが、年寄りは頭が固い。
おいら昔 若けぇ頃にこの現象を高齢者のセンセーに告げて質問した事があります。
(昔は本の巻末に著者の住所が書いてあった)
反応はご想像のとおり。
自生地の土壌がアルカリ性ってのを根拠に一笑に付されてしまいました。
このセンセーは某有名なサボテン栽培の先駆者。
まぁ、植物学者じゃなかったので仕方ねぇっちゃぁ仕方ない。
今だに石灰質を混ぜてる業者もいるくらいだから。
こんにちは。
返信する夏越で元気の無くなってきた多肉植物に、薄めた木酢液を与えようかどうしようかと調べていたことろでこちらに行き当たりました。
とても勉強になりました。ありがとうございます。
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