京都府立植物園さんの園芸日記

ウグイスカグラ

2020/02/26
ウグイスカグラ 拡大 写真1 ウグイスカグラ 拡大 写真2 ウグイスカグラ 拡大 写真3

 早春の里山にみられる低木の一つ、スイカズラ科の1種です。いま植物園内の数か所で赤い花をつけています。花は5枚の花弁が合着したできた筒状花冠をもち、その先端は正面から見ると上に2枚の花冠裂片、下に3枚の花冠裂片は配置するという、スイカズラ科の特徴の一つである2+3構造を示します。つまり、あまり明瞭ではありませんが、左右対称性を示します。3枚の花冠裂片に対応する花冠の基部には蜜を分泌する単細胞性の蜜腺が集まっています。5本の雄しべは花冠の内側に、大きな丸い柱頭をつけた雌しべが中央に。そんな花がいったいどんな送粉者が花粉を運んでくるのだろう? なじみの植物ですから幾つもの観察があり、私自身は見たことがありませんが、送粉者はコガタホオナガヒメハナバチです。口吻の長さが、花冠の筒の長さに一致するらしいのです。
 名前のとおり、ウグイスもやってきそうです。赤い花は鳥の好みです。ウグイスも吸蜜するかというと、そうした観察は今のところないようです。
名前の由来に諸説あり、ウグイスの鳴き出すころに花が咲く、ウグイスが隠れる、など。とかく和名(慣用名)の由来に諸説あるのは、それらを決めるルールがないため。
スイカズラ科の受精卵には面白い現象が知られています。子孫を残すため精細胞が卵細胞と受精するとき、大部分の植物には精細胞に色素体を含んでいません。卵細胞には色素体を含んでいるため、両者が受精してできる受精卵の色素体は卵細胞由来のものになります(母系遺伝といいます)。ところが、スイカズラ科の精細胞は色素体も含んでいるため、できた受精卵には精細胞と卵細胞の両方の色素体が含まれています。なぜ、それがどんな意味があるのか分かりません。夏にウグイスカグラの赤い実を見つけたとき、つまんで食べる前に、その中の種子の子供は精細胞と卵細胞の、つまり両親の色素体がある、と眺めてみて下さい。
今回はちょっと難しい話を書いてしまいました。

「ウグイスカグラ」関連カテゴリ

みんなの趣味の園芸にログイン/登録する

※コメントの書き込みには会員登録が必要です。

会員登録がお済みの方は

会員登録をすると、園芸日記、そだレポ、アルバム、コミュニティ、マイページなどのサービスを無料でご利用いただくことができます。

ピックアップ
定期購読
投稿募集中 from テキスト編集部
見て見て!お気に入りの花

見て見て!お気に入りの花
自慢の植物・庭の写真を募集中!

みんなのマルシェ

みんなのマルシェ
自慢の畑・野菜の写真を募集中!