アヤメ科(66属)の1つアヤメ属は世界に350種、世界中に分布しています。さまざまなアヤメの栽培品種が、植物園内のハナショウブ園で真っ盛りです。花は、他の全ての単子葉植物と同様、3数性です。写真のアヤメでは、外側に3枚の大きな外花被片、それと互い違いに並んだ3枚の小さい内花被片があり、外花被片と同じ位置に先端が3つ(花柱)に大きく割れた1つの雌しべがあります。雄しべは外花被片と花柱と同じ位置にありますが、両者に上下から挟まれて外からは見えません。
この花が面白いのは、1つの花で、3つの花のはたらきをしている点です。花全体を真上から見れば、花が3つに裂けて見えますね(写真左)。それぞれ、そのつもりで見れば、1枚の外花被片+(外から見えない)1本の雄しべ+1つの花柱が1セットになり(写真中央)、全体で3セットあるのです。
各セットをもう少し説明します。雄しべが外から見えないと説明しましたが、雄しべを見たことはありますか? ついでに、花柱の先端にある柱頭(花粉のつくところ)を見たことありますか? 花の一番上の3つに割れた花柱を上にちょっと持ち上げて中を覗いてみて下さい。すると、そこに雄しべが、バナナが2本縦に並んだような雄しべの葯(やく)があります(写真右)。今度は花柱側を見ると、雄しべの少し上の位置あたりに、表面が少し波打ったような横に長い柱頭があります。以上は虫眼鏡が無くても、そこに雄しべと柱頭が「ある」と思って観察すると、あります。すると、各セットがまるで1つの左右相称花に見え、くどいようですが、アヤメ属の花は1つの花なのに、まるで3つの左右相称花から成って見えるのです。実際に、3つの花のはたらきをしています。
確かめたことはありませんが、各セットの奥深く、外花被片の基部あたりに蜜腺があるらしい。それを求めて、訪花昆虫が左右相称の各セットの中に入ろうとすると、他の花から持ってきた花粉を柱頭に付け、戻るときにもぐった花の花粉を拾ってしまうのでしょう。
ついでに言えば、アヤメ科の祖先に近い植物はIsophysis tasmanicaと言って、オーストラリアのタスマニアに生き残っています。その花は紫色の内外の花被片をもち、全体で1つの普通の花です。タスマニアには、雄しべが2つしかなく、1つの花で1つの左右相称花になるアヤメ属の仲間も生きています。
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