おすすめの宿根草28種! 4つの役割別に紹介

宿根草とは、何年も生育と開花を繰り返す植物で、多年草の一種です。ガーデニングにはなくてはならない存在。だけど、お気に入りの花ばかりを集めて庭をつくると、一・二年草と違って年々大株に育っていくので、なんだかすてきに見えないと感じていませんか? 植物の役割に注目して、変化に富んだより表情豊かな庭をつくりましょう。
ここでは、植物を選ぶ際に役立つよう、主役、まとめ役、カラーリーフ、グラウンドカバーの4つにわけて、おすすめの植物を紹介します。

4つの役割で考える宿根草

    植栽をするとき、植物をその姿形から4つのグループに分けて組み合わせると、それぞれのよさが引き立ち、魅力的な庭ができ上がります。

    主役 …庭を見たとき、一番最初に目に入るシンボル的な存在。まずは主役の花を選び、そこから植栽を組み立てていくとよいでしょう。

    まとめ役 …主役の花を引き立てたり、植栽全体を調和させるのがまとめ役です。主役の花ほど華やかではないけれど、なくてはならない大切な存在です。

    カラーリーフ …葉色の美しい植物は、植栽の背景となって、花を引き立てたり、さし色やアクセントカラーとなって植栽を引き締めます。

    グラウンドカバー …植栽の手前に使うことで、ほかの草花を美しく引き立て、植栽全体をきれいに見せる効果があります。ここでは草丈低く地面を覆う植物をグラウンドカバーとして扱います。

    各植物の[高さ]では、ひざ丈まで(おおよそ40cmくらいまで)、腰丈まで(おおよそ40~70cm)、腰丈以上(おおよそ70cm以上)に分けて、草丈の目安を紹介しています。

    『4つの役割が決め手!宿根草でつくる自分好みの庭』より

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主役におすすめの植物 8種

    花が目立つことが主役の条件です。1つの花が小さくても、穂や房にボリューム感のあるものは、存在感があり、主役となりえます。
  • ラナンキュラス
    ラナンキュラスは幾重にも重なった、明るい花弁が魅力的な秋植え球根です。花色が豊富でシーンに合わせて選べます。小花や、後方に高さのあるものなど、花形や草姿の違うものを合わせると、花の魅力が引き立ちます。
  • オステオスペルマム
    開花期:1月中旬~5月、9月中旬~11月中旬
    高さ:ひざ丈まで
    オステオスペルマムは、株を埋めるように次々と咲くカラフルな花が特徴です。夜間や天気の悪い日は花を閉じる性質がありますが、花が閉じにくい、もしくは閉じない園芸品種もふえています。
  • ペチュニア
    ペチュニアは生育旺盛で高温多湿に強く、1株で広い面積を短期間に覆ってくれます。花つきがよく、春から晩秋まで開花し続けるので、花壇手前の目につきやすい、常に花を楽しみたい場所に。
  • チューリップ
    開花期:4月~5月上旬(開花期間は1~2週間)、原種の開花は3月から
    高さ:腰丈まで
    チューリップどうしを組み合わせるなら、同時期に咲く品種を選ぶとよいでしょう。ビオラなどのコンパクトな一年草と合わせると、大輪の花と高さが際立って華やかに。宿根草と合わせると、見どころがふえます。
  • エキナセア
    エキナセアは花が少なくなる初夏から夏にかけて花を咲かせるので、いっそう華やかな印象を受けます。近年、急速に品種の育成が進み、花色や花形のバラエティに富んだカラフルな品種が出回るように。注目を集めている宿根草です。
  • ユリ
    開花期:5月~7月(種類によって異なる)
    高さ:腰丈以上
    ユリは花姿や草姿、開花期などがさまざまで、多くの園芸品種があります。オリエンタル系の‘コンカドール’は、レモンイエローの花びらが鮮やかでありながら、ほかの草花とも合わせやすいユリです。オリエンタル系のユリは初夏から夏への季節の変わり目に開花し、庭の見せ場がふやせます。
  • ジギタリス
    ジギタリスは初夏の庭のシンボルとなる、主役にふさわしい花です。存在感がありながら、ナチュラルな雰囲気もあり、ほかの草花ともよく合います。花の個性を際立たせるため、数株まとめて植えつけ、まわりに花形の違う小花を合わせるとよいでしょう。
  • デルフィニウム
    「オーロラ」シリーズなど、長い花穂が華やかなエラータム系のデルフィニウムは、ボリューム感もあり初夏の主役花に欠かせません。クリアなブルー系の花が美しく、数株まとめて植えると印象的です。本来は宿根草であるものの、日本では夏を乗り切ることができないことが多いため、園芸的には一年草として扱われています。
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まとめ役におすすめの植物 7種

    主役の花よりも控えめな花色や、淡い花色を使うとまとまりやすくなります。葉色も美しいものを選べば、見どころをさらにふやすことができます。
  • エリゲロン
    開花期:初夏が多い(種類により異なる)
    高さ:ひざ丈まで
    エリゲロンは細い茎葉をふんわりと広げて一面に咲く小花が、可憐でナチュラルな印象です。あまり派手ではない小花やカラーリーフと合わせると、花の持ち味が生きます。‘プロフュージョン’などの品種があるカルビンスキアヌス種は、花期が長く栽培も容易です。
  • ユーフォルビア「ダイアモンド・フロスト」
    植栽に1株加えると、全体が明るく華やいだ印象に。白い小花(苞葉)と、よく枝分かれする細い茎にボリューム感があり、どんな花とも合わせやすいです。小さな白い花は、周囲のさまざまな色をつなぐ、クッションの役割も果たしてくれます。
  • バージニアストック
    開花期:4月~5月(春まきでは9月中旬~10月)
    高さ:ひざ丈まで
    バージニアストックは小花ながら株一面に花を咲かせるので華やかで、どんな草花ともマッチします。耐寒性があるので、早春の補植に向いています。よく枝分かれしたボリュームのある株を選べば、庭を春らしい華やかな印象に変えられます。
  • スカビオサ
    開花期:4月~6月と9月中旬~10月ごろが多い
    高さ:ひざ丈まで
    株元から立ち上がった花茎の先に、半円状の花を咲かせる草姿と花形が独特なスカビオサ。ほかの草花と組み合わせると、全体の変化づけになります。ふんわりとした風船のような花が魅力。1輪は大きめでも、小花が集まった花なので、どんな草花ともしっくりなじみます。
  • ゲラニウム‘ジョンソンズ・ブルー’
    ゲラニウムの高性種‘ジョンソンズ・ブルー’は、透明感のあるブルーの大輪の花を咲かせます。個性的ですが主張しすぎず、組み合わせやすい花です。切れ込みのある葉も美しく、秋には紅葉します。ゲラニウムのなかでは早咲きで、バラの開花期にも重なります。
  • チョコレートコスモス
    深みのあるチョコレート色の花は、シックでおしゃれな印象。黒みがかった花色は、どんな花とも合わせやすく、華やかな色の花に加えるだけで、落ち着いた雰囲気になります。夏の暑さに強く、春から秋まで長期間楽しめます。
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カラーリーフとしておすすめの植物 6種

    葉とはいえ、花の見え方の印象までも変えてしまうほど、カラーリーフの効果は大きいもの。加える量やバランスに注意して、組み合わせましょう。葉色だけでなく、大きさや形、手触りや質感も大切な要素です。
  • ヘミグラフィス
    シックなメタリック調の葉が美しいヘミグラフィス。ほふく茎を伸ばし、地面を覆うように丸みのある大きな葉が広がっていくので、葉の色合いをしっかり楽しむことができます。日ざしが強いほど、葉の赤みが強くなる種類も。夏には、白い小さな一日花を咲かせます。
  • ギボウシ
    葉の観賞期:3月~11月
    高さ:腰丈まで
    日陰の庭に欠かせないギボウシ。数種類を組み合わせて使うと、個性的な葉色や形が際立ち、葉だけでも魅力的な植栽になります。小花や細やかな葉と合わせると、それらを引き立てるだけでなく、安定感や落着きを感じさせます。ギボウシにはない、切れ込みの入った葉や細長い葉を合わせると、みずみずしい風景になります。
  • カレックス
    グラス類ならではの葉を密に放射状に広げる姿が特徴。どんな草花とも合わせやすく、植栽に加えるとボリューム感と動きを出すことができます。常緑性なので、常にグリーンを楽しみたい場所によいでしょう。成長がゆっくりなので、狭い場所でも楽しめて、手入れも簡単です。
  • シロタエギク
    細かな綿毛に覆われた、もこもことした質感のシルバーリーフが魅力のシロタエギク。植栽に加えると全体が明るい印象になります。花ものと混植することで、主役をよく引き立ててくれます。
  • カラミンサ(斑入り種)
    カラミンサ・グランディフローラ‘バリエガータ’など、細かな散り斑の入った品種は葉も美しく、植栽に加えると、全体が明るく、涼しげな印象になります。葉にはミントに似た香りがあり、ピンクの小さな花と葉がナチュラルな雰囲気で、どんな草花とも合わせやすいです。
  • コルジリネ
    コルジリネはしっかりとしたラインのある草姿で、シャープでモダンな雰囲気になります。細長い銅葉を放射状に広げるフォルムが美しく、もこもこと茂る草花の後方に入れると、植栽全体が引き締まり、すっきりと見せることができます。
    *コルジリネは木本性の植物ですが、ここでは庭づくりに生かせるカラーリーフとして紹介しています。
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グラウンドカバーとしておすすめの植物 7種

    植栽スペースの一番手前は、目線がいきやすい部分。ここが美しく整っていれば、後ろのほうが多少乱れても意外に気にならないものです。園路と花壇の間、ちょっとしたすき間を埋めるのにも最適です。
  • アジュガ
    開花期:4月~6月中旬
    高さ:ひざ丈まで
    アジュガは、常緑の葉がびっしりと地面を覆うように広がる、グラウンドカバーの定番植物です。冬に落葉する宿根草や、植えたままにできる球根類との組み合わせがおすすめです。相手の草丈が低い場合は背景に。高い場合は手間に植えると、色の面となって、後ろの花が引き立ちます。
  • リシマキア
    黄金葉タイプ、斑入りタイプ、銅葉タイプなどさまざまな種類があり、初夏には主に黄色の花を咲かせます。いずれの種も、丈夫で育てやすく、水辺など湿り気のある場所に植えるとよく繁茂します。
  • タイム
    開花期:主に4月~6月/葉の観賞期:周年
    高さ:ひざ丈まで
    ハーブとしても親しまれているタイムは、小さな堅い葉が密生し、常緑性で花も美しいので、コンテナの寄せ植えや花壇の縁、石組みの間など、香りのあるグラウンドカバープランツとして利用することができます。
  • ダイコンドラ(ディコンドラ)
    ダイコンドラは、這うように伸びる長い茎に葉が密につき、グラウンドカバーやハンギングの寄せ植えのアクセントとして最適です。ただし、葉柄が長くて踏圧には強くないので、植える場所には配慮します。タネをまけば、飛び石の目地や、小さなすき間をグリーンで埋めることも可能。
  • ヒメイワダレソウ(リッピア)
    小さな細長い葉をつけた茎が、地面を這うように広がり、地面についた節々から根を出して、緑のカーペットになります。根が深く張り、踏圧にも耐えます。生育が旺盛で雑草対策にもなりますが、まわりの植栽に侵入したら、そのつど抜き取りましょう。
  • ヒメツルソバ
    開花期:4月~11月(真夏は少なくなる)
    高さ:ひざ丈まで
    金平糖のような、直径1cmほどの小さくて丸いピンクの花を初夏から秋にかけて長く咲かせます。タデ科特有のV字形の葉模様もナチュラルで愛らしい印象。生育旺盛で、どんどん広がるので、伸びすぎたらそのつど切り戻しましょう。
  • ムラサキサギゴケ、シロバナサギゴケ
    紫の花のムラサキサギコケ、白い花のシロバナサギゴケは、地面を這うように茎を伸ばし、明るいグリーンの小さな葉をマット状に茂らせます。細かな茎葉なので、すき間を埋めやすく、踏圧にも耐えるので、飛び石などの目地に植えるとよいでしょう。
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もっと詳しく知りたい方に

    『4つの役割が決め手!宿根草でつくる自分好みの庭』では、上記で紹介した植物に加え、全部で120種類以上の植物の役割を記した植物図鑑を収載しています。また、宿根草の役割ルールを生かして好みの庭をつくるための、庭づくりの手順や色の選び方、植え替えプラン、スペースにあった植栽の考え方など、実践のためのテクニックを詳しく解説しています。
宿根草の役割を知って植物を組み合わせることが、きれいな庭をつくるコツ! 宿根草を中心に、120種以上の植物の役割を記した植物図鑑はまさに保存版! 自分の好きな植物を庭に植えたけれど、なかなか見栄えよく仕上がらないと感じているすべての人に贈る一冊。

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