1.去年ベラボン植えしていたもの
傷んだ根や、乾いた根を除去し、瑞々しい白い太根だけを残す。また、基幹部の痛みで、軽く引っ張れば取れるような外周の鱗茎も外して棄てる。
去年の球根が無事今年も植えられるのは、ピンネシリ2球とセレヌウム2が2球のみ…。
2022年8月28日
2.ホーマイ水和剤200培養液に30分浸漬
去年は紛衣で済ませた。しかしサロニカエは2球全滅したので、今回は水溶液に30分浸し、陰干しして乾いてから植え付ける。さらにオーソサイドを紛衣してやろうかと用意したが、やめた。
ホーマイ水和剤はユリ全般の球根消毒に便利です。Amaz●nでも比較的適正価格(Amaは農薬は割高が多い)。トップジンMとチオノック(有機硫黄系、ジマンダイセンの親戚)との合剤で安価。水溶液に長く触れると手荒れするので注意。
3.30分+乾燥させている間に土作り
●創和 赤玉ボール小粒 14L
今回初めて使用。赤玉土を成形したもののようで、粉少なめ、粒崩れにくく水はけが良く、土そのものは保湿性がやや高めの模様。約6割
●グリーンプラン 木の葉100%腐葉土14L
ふかふかの良質の腐葉土だった。バークや針葉樹の葉が含まれず、上質。約3割
●瀬戸ヶ原花苑 パーライト 3L
すまんが、とくにコメントはない(笑)
排水性と保湿性の向上に使われる。約1割
4.本当は素焼き鉢6号が最高なのだが
1鉢しかなかったのでサロニカエに使用。ほかはリッチェルバラ鉢6号でカンベンしてください。
元肥に、ひとつまみずつマグァンプK中粒を入れている。油かすなど有機肥料は暖地では使用しない。
また、植え付け直後の灌水なども、今はまだ30度超える気温のため、行わない。
また、通常のユリと違い上根は出ないので、頂部が覗くくらいの浅植えにする。今回は頂部より5mmほど覆土した。
2022年8月28日
5.セレヌウム2発芽
昨年の残り球が発芽。2芽ずつ出ているのが気になるが、致し方なし。
早めに芽が出た方が、冬になるまでにロゼットを大きく育てられるので、来春以降有利になります。
年を越えて芽吹くようでは、開花率がけっこう下がるようです。10月中には芽吹いてほしいかな。
葉が展開したら、球根に直接水がかからないよう、鉢の縁に沿ってぐるりと回しかけるように灌水をはじめますが、今はまだ時期尚早。
2022.9/13
6.セレヌウム2、初灌水
気温がまだまだ30度越えと高いため、ロゼットにならない。まあこれはこれで、寒冷地で無ければたいした問題では無い。
葉がだいぶん開いてきたので、台風につき深い軒にいれたものの、いちおう初灌水。本格的に雨が降り出す夜までには室内に取り込む。
地上部が無い鉢に関しては、軒下で放置。いくぶん濡れるだろうが、発芽の刺激になるかもしれない。本当は室内に場所がないからだが…。
2022年9月18日
7.サロニカエも2本芽吹いた
ピンネシリはまだだけど、あちらは比較的育てやすい園芸品種だから心配はしていない。
サロニカエは10月より軟腐病・乾腐病回避のため、薬漬けで育てる方針。薬害で枯れたら本末転倒ではあるが、普通の管理程度ではどうにもならんので致し方なし。
例によって、葉が開くまでは灌水をしない。
2022年9月23日
8.セレヌウム2は水を吸ってぐんぐん成長
日中30度前後あるが、それでも灌水は週1程度まで。
日当たりは良く、雨には濡らさないこと。
明日は10日ぶり2回目の灌水予定だが、ここは液肥をやっておきたい。
寒冷地では有機の液肥なんかも良いですが、暖地では腐敗の原因になりかねないので、化成の液肥を。腐植酸(フミン酸・フルボ酸、つまり有機酸)が含まれるくらいはかまわないのではないかと思いますが、サロニカエにはそれも自粛。
2022年9月27日
9.ピンネシリ発芽
なんとか成長の余地のある期間に芽吹いたので良かった。春に芽吹いてもいけなくは無いようですが、成長に差が出ます。
手前のサロニカエは、昨年の乾腐病で失敗した株ですが…殺菌剤灌注をくりかえした成果か、球根は大部分が一見無事でしたので植え直しています。
ただ、再発の可能性は高いです。
2022年10月10日
10.サロニカエ2本
左は昨年の病害で斃れたサロニカエ。右は今季購入のサロニカエ。左は10月5日頃、右は9月23日発芽だが、文字通り腐っていても(※腐敗部分は除去して植え付けている)、昨年を越して2年目の方が成長は良いようだ。
現在週1で灌水。
2022年10月16日
11.ここ数日日中は25度前後でやや暑い
そこで活性が充分保たれると判断して、抗生剤カスガマイシンを含むカッパーシンを灌注。ユリ軟腐病に登録あり。
カスガマイシンは春日大社の地中から採取された放線菌より60年代に発見、作用機序の解明は2006年。
毒性は低く、バラのうどん粉病から柑橘かいよう病まで有効も、食品衛生法では食物から抗生剤は検出されてはならないとされている為、使用後の収穫は充分間を空ける必要があります。
2022年11月6日
12.前年病気だった株はやはり今年も…
昨年乾腐病に倒れたサロニカエだが、球根が無事そうだったものは再度植えてみた。
この、葉先が茶色いのは、鱗片の時点で病魔に冒されている状態です。ただ、治ること自体はないので、病気が治ったけれど病斑が残ったものか、現在進行形で病気なのかは、もうしばらく栽培してみないと分かりません。
どちらにせよ、いちど病気を発症したら、再発しやすいのは確かです。
2022年11月24日
13.⑫のサロニカエ
薬物治療を試みても、駄目なものは駄目なようで。次々に葉が枯れていくので、大きくならない。今期をもって処分する所存。
実はそだレポが未完であったことをすっかり忘れていました。
2023年3月28日
14.ほかのサロニカエ
素焼き鉢+赤玉土+腐葉土の、環境刷新の一群。下のしょぼいやつは、ひと月前まで芽も出ていなかった成長遅れの個体。
抗生剤カスガマイシンを含むカッパーシンをこれまでに1回、月イチでICボルドー66dを灌注している。
ICボルドー66dはユリに適用があるものの、オリエンタルゆりには薬害が出るため、私の育てている大半がオリエンタルおよびオリエンタルハイブリッドで散布できず。
2023年3月28日
15.ほかのマドンナリリー
青い鉢の、ユリ4株だけね。
品種はカスケードストレインやピンネシリなど3種。どれも園芸品種で、原種に近いサロニカエより扱いやすいというだけあり、元気そうに茂っている。
ただし、乾腐病・軟腐病が激化するのはこれからなので、予断は許さない。⑭と同じように、ICボルドー66dを月イチで灌注している。
⑭も含め、すべてのマドンナリリーに3月26日、10-10-10の化成肥料をひとつまみ与えている。
16.サロニカエ
成長不良株は育たず。また、⑫⑬の昨年罹患株で再生中だったものは、もう死に体ですので処分します。
なんとか今日までほぼ無事にこられていますが、少なくとも4月いっぱいは予断を許しません。この土日にも抗生剤カッパーシン2回目を灌注しておこうと思います。
なお、葉の汚れは4月2日に撒いたオーソサイド+アビオンEの影響です。展着剤を面倒がらずにまくぴかに替えておくべきだった…。
2023年4月10日
17.ほかのマドンナリリーは蕾が付きそうな感じ
サロニカエと違って、花芽をつけるために丈が伸びてきています。葉が汚れているのは先述したオーソサイドの影響。
なお、カッパーシンに含まれる抗生剤成分「カスガマイシン」は、フザリウム菌には効果がいまいちのため、銅剤と混成されています。つまり、乾&軟腐病防除主体なら、ICボルドー66dの灌注だけでもいけたかもしれません。
2023年4月10日
18.半分くらいのマドンナリリーに蕾が付きそう
2023/04/27
全部ではない。「ピンネシリ」はいちばん育てやすいので、2株とも咲きそうだが、ほかは半分くらいかな。「サロニカエ」もなんとか4鉢中2鉢が今期咲きそうである。成長不良の1株は枯れ始めているが…。
ここ5年ほどマドンナリリーを毎年植えていますが、全部は咲きません。せいぜい2/3程度。どうしても何株かは芽が出るのが夏に植えた翌年に長引き、そうした株は成長不良で咲かないことが多いです。開花のためのエネルギーが溜まっていないのでしょう。
「サロニカエ」に蕾が付けば、咲かなくてもこれまでで初です。月イチのICボルドー66D灌注は土中の銅比率を狂わせて薬害が出るかと思いましたが、なんとかなりそうです。植え替えは毎年必要ですし、来年のことは考えなくて良し。
19.マドンナリリー「セルヌウム」開花
2023/05/25
一昨年からの球根でスタートは良かったが、肥料不足だったようで花が2輪しか付いていない。香りは香水の原料になるだけあって抜群だけれども。
もう少し化成肥料を与えるべきだった(※暖地で有機肥料は球根腐敗の原因になるため、与えるなら時期を選ぶ)かな。
花粉が落ちて花弁が汚れるのはどうしようもないです。開花直後に撮影して、綺麗なまま撮れるかどうか。マドンナリリーは花粉が多く、しかも茎が細く長く、容易く風に揺れるので、綺麗な姿を撮影するのは困難です。
20.マドンナリリー「サロニカエ」開花
2023/05/30
苦節3年、初開花!!
結局年2で「ダコニール1000」を灌注し、年2で「カッパーシン水和剤」を灌注し、その間の月は「ICボルドー66d」を灌注するという薬漬けでしたが…なんとか乾腐病はクリアできました。
とはいえ、4株中1株最近枯死、1株は開花せず、開花は2株のみ、50%といういまひとつな結果にはなりました。
21.サロニカエうんちく
2023/05/30
レオナルド・ダ・ヴィンチとアンドレア・デル・ヴェロッキオが1472-1475年ごろに描いた絵画『受胎告知』のガブリエルが持っているマドンナリリーが「サロニカエ」に酷似しているといわれる。写実的な絵を描くので、品種の特定が出来るらしいです。
マドンナリリーの変種のサロニカエは、ほかのマドンナリリーに比べ、開花が早く葉が細いのが特徴という。第一次世界大戦中に、北ギリシアのサロニカ、現在のテッサロニキという場所で、イギリス人兵士によって発見されたことにちなんでこの名がついたもの。
それまでのマドンナリリーは、「自家不和合性」であり、種子の結実は困難だった。「サロニカエ」は高い稔性があり、長い間挿し芽等の栄養繁殖を行ってきたマドンナリリー栽培において、この発見は画期的だった。「サロニカエ」の発見により、その後の「カスケード ストレイン」など園芸品種の育種へとつながり栽培が繁殖が容易になっていったという。
発見者の名前はアンバー氏と言う説。スッと伸びている葉が、「サロニカエ」の特徴です。大正時代には日本で園芸品種として育てられていたこともあるようです。
22.もうすぐこのそだレポは終了です
2023/05/30
マドンナリリーはまだ園芸種が控えていますが、間もなく順に開花していき、このそだレポは終了する見込みです。
いましばらく、お付き合いください。
23.マドンナリリー「カスケードストレイン」開花
2023/05/31
変種「サロニカエ」より交配で生み出された、比較的育てやすい園芸種。
24.マドンナリリー「ピンネシリ」開花
2023/05/31
こちらも比較的育てやすい園芸種です。香り抜群!
25.ページ余らせていても仕方ないので埋め
2023/06/01
「ピンネシリ」。
26.⑳㉑のサロニカエは誤りでした
2023/06/02
こちらが本当のサロニカエです。葉もほかのマドンナリリーよりも細いのですが…。
27.サロニカエとほかの園芸種
2023/06/02
例が少ないのでたしかなことかは分かりませんが、「サロニカエ」は主軸から枝咲きと申しますか、互生のようなかたちで花が付きます。
写真は「ピンネシリ」ですが、「カスケードストレイン」も、花首の分岐部分は一緒で、固まって咲くようです。
そうしてみると、「受胎告知」のユリは枝咲きっぽかったかな?
28.サロニカエの花の付き方
2023/06/02
こちらの方がわかりやすいかな…花の根元は互い違いで、かつ固まっていません。
写真は最も育てやすい園芸種「ピンネシリ」です。
やや育てにくいという「サロニカエ」。2年ベラボン植えして2年とも乾腐病で2本×2年全滅した。今回もダメなら今後手を出さない…かも。