今、熱い植物「ユーフォルビア」

オベサ梵天
オベサをベースにした交配種‘オベサ梵天’。元のオベサに比べ、やや筒状に育つ。

第8回 変異も楽しいユーフォルビア ― 今、熱い植物アーカイブ

育てやすいが意外に気難し屋

人気の多肉植物のなかでも、確固たる地位を築いているユーフォルビア。

ころんとした愛らしいフォルムのオベサやサボテンのようなとげのあるホリダ、はたまた紅麒麟(べにきりん)のようにいくつもの突起ができる「タコもの」と呼ばれるものまで、形のバリエーションが豊富なところにコレクション心をそそられる人も多い。ほかの多くのサボテン・多肉植物同様、乾燥に強く、頻繁な水やりも必要ない。

「そういうと育てやすそうに聞こえるかもしれないんですが、案外簡単に枯れることもあるから油断できないんですよね」

そう語るのは、奈良県で多肉植物の生産を手がけている松岡修一さん。ユーフォルビアをはじめとする多肉植物の育種も行っている。

変異を求めてタネをまく人が増加中

ユーフォルビアの楽しさは、種類ごとの違いが多様であることだけでなく、実生(*1)の際に出る変異もまた多様なことである。最近は、そうした変異を追い求めてタネをまく人がふえている。

「ただし、人気のオベサなどは雌雄異株(*2)なので、1株ではタネがとれません。必ず、花粉を出す雄株とタネをつける雌株が必要になります。雄株に比べると雌株のほうが絶対数が少ないのでちょっとレアなんですが、最近はタネをとってまく人がふえて人気なのですぐに売れてしまいます」

*1 実生=タネをまいて新たな株をふやすこと。こうしてふやした株を実生株と呼ぶ。
*2 雌雄異株=雄の花と雌の花が分かれている植物のうち、それらが同じ1つの株につかない植物のこと。

松岡修一

松岡修一(まつおか・しゅういち)

多肉植物栽培家。花苗農家に生まれ幼少のころから植物に親しむ。園芸専門学校で学んだのち、自らの農場を立ち上げ、奈良県で多肉植物の生産を行う。独自の交配品種の作出や、新種、新品種の導入も手がける。


いろいろなユーフォルビア

ユーフォルビア・オベサ
ユーフォルビア・オベサ Euphorbia obesa
上写真の‘オベサ梵天’のもとになった種類。きめの細かい美しい肌が人気。
ユーフォルビア・ホリダ
ユーフォルビア・ホリダ Euphorbia horrida
細かなとげが稜(筋状に出っ張った部分)につく種類。アルバ(alba。本来の色ではなく、白っぽくなっているもののこと)など変種も多く人気。
ユーフォルビア・アトロビリディス
ユーフォルビア・アトロビリディス Euphorbia atroviridis
いくつもの枝を出す「タコもの」と呼ばれるグループの代表的な品種の一つ。
紅麒麟 綴化
紅麒麟 綴化(べにきりん てっか) Euphorbia aggregata
本来は柱サボテンのような形に育つ紅麒麟の綴化(成長点がたくさんできる変異)したもの。

撮影/田中雅也 編集/土屋 悟 撮影協力/たにっくん工房

『NHK趣味の園芸』テキスト大好評連載「今、熱い植物」アーカイブ
この記事は『趣味の園芸』2017年11月号「今、熱い植物」を編集、抜粋したものです。

ユーフォルビア

ユーフォルビアの一覧

「多肉植物・サボテン図鑑」でユーフォルビアの種類を見てみよう!(随時追加更新中)

植物図鑑

ユーフォルビアの植物図鑑

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