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ラズベリーのあれこれを今西先生に聞いてみた!<後編・ラズベリーをもっと身近な果実に>『趣味の園芸』7月号こぼれ話

ラズベリーのあれこれを今西先生に聞いてみた!<後編・ラズベリーをもっと身近な果実に>『趣味の園芸』7月号こぼれ話

ウェブサイト「みんなの趣味の園芸」だけで読める連載「テキストこぼれ話」。『趣味の園芸』テキストの特集内容に関連して、誌面で紹介しきれなかった情報をお届けします。

 

今回は、7月号のベリー特集で「初心者イチオシの人気のベリー ラズベリー&ブラックベリー」を教えてくれた今西弘幸さんが登場。前編では、ラズベリーの魅力や流通の現状などを伺いましたが、後編では、国産ラズベリー普及のための先生の取り組みについて伺います。

 

*  *  *

 

編集部(以下、編):日本に流通するラズベリーはほとんどが海外からの輸入と前回伺いました。先生が国産ラズベリーを普及させるために取り組んでいることを教えてください。

 

今西先生(以下、今):ラズベリーはもともと暑さには比較的弱く、耐寒性は強いので、北国のほうが栽培に向いています。私の住む秋田県も栽培適地なので、一大生産地にすべく奮闘しています。

 

編:具体的にどんなことをされているのですか?

 

今:秋田県五城目町や能代市と大学とで共同研究を行い、ラズベリーの産地化に取り組んでいます(五城目町キイチゴ研究会能代ラズベリー研究会)。五城目町では役場との共同研究を終えた後も生産者や加工業者などの団体と共同研究を継続的に実施していて、いまや国内屈指のラズベリー産地になっています。

 

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五城目町の生産者の一人、Sさんのハウス。一季なり品種の収穫最盛期のようす。(写真提供/今西弘幸)

 

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秋田県五城目町産のラズベリーを使った「多恵&要蔵」(秋田市)の洋菓子。(写真提供/今西弘幸)

 

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秋田県五城目町産ラズベリーを使った「パルテール」(秋田県潟上市:西武秋田店にも店舗あり)のタルトケーキ。(写真提供/今西弘幸)

 

今:共同研究では定期的な研修会を行い、栽培・出荷などの技術的な課題や組織の運営、販売方法などの課題まで、経営実証的に取り組んでいます。秋田県内外からも多くの引き合いがあるんですよ。

 

編:秋田県はいまや国産ラズベリーの一大産地になっているのですね。生産を担うのはどんな方たちなのでしょうか。

 

今:秋田県は都道府県別の高齢化率が日本一の先進的な(!)地域ですので、ラズベリー生産者も人生の先輩方がほとんどです。ラズベリーやブラックベリーなどのベリー類は収穫・選別に多くの時間を必要としますが、重さのある作物ではないため、高齢者に向いている農作物であると言えます。当初から想定していたことではなく、共同研究で取り組んでいくなかで、生産者自身が「重くないのが良い」とおっしゃっていました。

 

編:なるほど。年齢を重ねた方のからだにも負荷の少ない、やさしい作物なんですね。

 

今:栽培管理が上手で、出荷量が多く、品質の優れた果実を販売される生産者は、パートナーとの分担・連携がうまくいっている方々だと見受けられますね。旦那様が施肥や誘引などの管理を行い、収穫は旦那様、もしくは奥様と一緒に行い、奥様が選別・パック詰めを行い、売り上げは奥様の懐に入るようにしていることがうまくいく秘訣のようです。

 

編:(爆笑)ご家族で協力して、うまく連携プレーをして、ラズベリーを生産する方がどんどんふえていってほしいですね。

 

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五城目町の研修用ハウスで。今西先生(囲み内)の説明を聞く生産者のみなさん。(写真提供/今西弘幸)

 

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能代市農業技術センターのハウスで、栽培されるラズベリーとブラックラズベリー(右列)を見学する生産者の方々。(写真提供/今西弘幸)

 

今:国産のラズベリーが、直売所やスーパーマーケットに並び、菓子店やレストランで利用され、身近な果実として多くの方々に親しまれるようになると良いなぁと思っています。

 

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2021年6月から、渋谷の東急フードショー「くら吉」で売られる、秋田県産ラズベリーを使った菓子。手前のピンク色が「プレミアムラズベリーウィッチ」。奥の白色のは「プレミアムシャインマスカットウィッチ」で、秋田県産のブドウ'シャインマスカット'を使用している。(写真提供/今西弘幸)

 

編:最後に、読者の方に一言お願いします。

 

今:コロナ禍が収まったら、ぜひ秋田にお越しください。秋田県内の各地で、ここで紹介しきれなかったラズベリー・ブラックベリーの洋菓子、和菓子、アイスクリーム、ソフトクリーム、ジェラート、発泡酒、ジャムなどの様々な加工品が楽しめます。

誌面にも紹介したように、ラズベリー・ブラックベリーは病害虫も少なく、決して栽培は難しくありません。ぜひご家庭でも育てて、自分で育てた完熟の果実を味わっていただきたいですね。ヨーグルトやアイスクリームに添えたり、チョコレートを食べる際にラズベリー果実を一緒に口にするだけで、いつもと違う味わいを楽しめて暮らしが楽しくなりますよ!

 

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ラズベリー・ブラックベリーは家庭でも栽培しやすい果樹。とくにブラックベリーは耐暑性もあり、暖地でも育てやすい。(撮影/福田稔)

 

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ラズベリー×チョコレートアイスも美味。お試しあれ!(クレジット/PIXTA)

 

<終わり>

前編はこちら!

 

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今西弘幸(いまにし・ひろゆき)

秋田県立大学アグリイノベーション教育研究センター准教授。ベリー類、とくにラズベリーの研究に長年取り組むスペシャリスト。地域の生産者や菓子店、役場と協力してベリー類の生産振興に取り組み、身近な果実になることを願っている。

 

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テキストこぼれ話」では、『趣味の園芸』テキストの特集に関連して、担当編集者による講師へのインタビューなどをウェブ限定で公開しています(毎月2回更新予定)

 

『趣味の園芸』2021年7月号 好評発売中!

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ラズベリーとブラックベリーは、苗木1本から始めて、品種によっては1年以内に収穫が楽しめる手軽さが大きな魅力です。基礎知識やおすすめ品種、育て方などを今西さんが教えてくれました。

 

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7月号の内容はこちら

 

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