國武久登先生、おすすめの柑橘を教えてください!<後編・先生のイチ押し柑橘、ポンカン!>趣味の園芸11月号こぼれ話
ウェブサイト「みんなの趣味の園芸」だけで読める連載「テキストこぼれ話」。『趣味の園芸』テキストの特集内容に関連して、誌面で紹介しきれなかった情報をお届けします。
今回は、11月号果樹特集「鉢植えでおいしい柑橘 ミカンの仲間」で、柑橘について教えてくれた國武久登先生が登場。宮崎大学農学部長で、柑橘だけでなくベリーなどについても精通されています。
前半は、ウンシュウミカンのおすすめ品種を教えてもらいました。 後編では、同じミカンの仲間である「ポンカン」についてお話を聞いていきます。
* * *
編集部(以下、編):今回の記事を読んで、ミカンから果樹栽培を始めてみたいと思いました!
國武(以下、國):特にウンシュウミカンは寒さにも強く、ビギナーの方が果樹を収穫する喜びを味わうのにはぴったりですね。ただ、個人的には「ポンカン」もイチ押しなんですよ。
編:ポンカン、いいですね。ふつうのミカンより一回り大きくて、実ったときの達成感がありそうです。栽培は難しくないのでしょうか?
國:基本的にはウンシュウミカンと同じと考えて大丈夫です。おすすめ品種を紹介しましょう。
まずは、代表品種とも言える「太田ポンカン」ですね。酸味が低く、最高の甘みをもつポンカンです。特に冬の気温が高い近年は、糖度が十分にのり、ビギナーの方でも十分おいしいものが収穫できるのではと思います。
太田ポンカン
編:最高の甘み......一度食べてみたいです!
國:次は「吉田ポンカン」。晩生系ポンカンです。香り、味わいともに深い品種で、太田ポンカンに比べると、果実は大きく縦長です。暖地で越冬できるなら、ポンカン栽培はこれで決まりでしょう!
吉田ポンカン
編:先生が考える「ポンカンの魅力」はどのあたりでしょうか?
國:まずは何よりも、酸が少なく甘いこと。成熟には12月までかかりますが、味わいは格別ですね。独特のポンカン臭(濃厚な芳香)もあります。学生たちにとっても、ポンカンはややエキゾチックなイメージもあり、印象がよいようですよ。ちなみにポンカンの「ポン」は、インドのpoona(プーナ)という地名に由来すると言われています。原産地もインドで、日本には明治時代に伝わりました。
編:インド原産とは知りませんでした!
國:最後にとっておきです。こちら、まだ正式な販売はされていないのですが、和歌山県で試験中の「アオポン(仮称)」です。温州ミカン(青島温州)と吉田ポンカンの交雑品種で、「甘さたっぷり」で「タネは少なめ」と、ちょうど、両方のよいところをとった系統になっているんですよ。最近注目されています。
アオポン(仮称)
編:これは、近い将来市場に出回るのでしょうか...? ぜひ、食べてみたいです!
國:将来を見据えて育成中です。お楽しみに!
(写真提供:吉岡国光園)
<終わり>
前編はこちら!
國武 久登(くにたけ・ひさと)
宮崎大学農学部長・農学研究科長/教授。専門は植物遺伝育種学。柑橘をはじめブルーベリーやラズベリーなどの育種に取り組む。日本の野生植物を利用した家庭果樹の品種改良に没頭中。
「テキストこぼれ話」では、『趣味の園芸』テキストの特集に関連して、担当編集者による講師へのインタビューなどをウェブ限定で公開しています(毎月2回更新予定)
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