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<サラリーマンのラン生活>新進気鋭のラン栽培家・清水柾孝さんに聞く【趣味の園芸1月号こぼれ話・後編】

<サラリーマンのラン生活>新進気鋭のラン栽培家・清水柾孝さんに聞く【趣味の園芸1月号こぼれ話・後編】

ウェブサイト「みんなの趣味の園芸」だけで読める連載「テキストこぼれ話」。『趣味の園芸』テキストの特集内容に関連して、誌面で紹介しきれなかった情報をお届けします。

 

今回は、1月号ラン特集「特別のランから『みんなのラン』に」で対談をしていただいたラン研究のレジェンド・遊川知久さんと、新進気鋭のラン栽培家・清水柾孝さんが登場。ランについて、さらにお話しを伺います。

 

前編では、遊川さんに<ランの情報はどう整理されているか>教えていただきました。後編では、会社勤めの一方で全日本蘭協会の理事も務める清水さんに、<サラリーマンのラン生活>についてお話を伺いました。

 

*  *  *

 

編集部(以下、編) まずお聞きしたいのが、約1,000鉢ものランを、どこで管理されているのでしょうか?

 

清水柾孝(以下、清) 3か所拠点があります。実家の温室に5割、借り温室に4割、残り1割が自宅のアパートです。

 

 種類にするとどのくらい?

 

 数えたことないですねぇ。好きなランを集めて、さらに自分でも育種をしておりますので。

 

 トップ3をあげると?

 

 いちばん多いのはパフィオペディラムです。とても好きなので育種もしています。次がカトレアかなぁ。あとはアングレカムとかバンダとか、単茎種のランですね。

 

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世界らん展2021では、清水さんが出品した「パフィオペディラム サクハクリー'インパクトファクター'が奨励賞と世界蘭会議委員会(WOC)特別賞を同時受賞した(撮影:清水柾孝)

 

 会社勤めをしながら、どうやって世話をしているのでしょうか?

 

 自宅のランは、出社する前の朝5~10分と仕事から帰ってから夜30分に世話をするので、平日は40分くらいが管理の時間です。基本的に水やりか霧吹きをするか。あとは「ぼーっ」とそれぞれの株を見ています。葉っぱ出てきたな、根っこ出てきたな、これ花芽かな、虫や病気ついていないか、一つ一つ見るのが大切ですね。

たとえ時間が限られていても、5分でも10分でもランを観察する時間を設けてもらうのがいいかなと思います。仕事も現実も忘れられる幸せな時間です。

 

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自宅での栽培風景。黒い寒冷紗で日差しを調整している(撮影:清水柾孝)

 

 今の日本人は忙しいですからね。

 

 生活スタイルに合わせて管理するやり方を見つければよいと思います。私はバンダのようにぶら下げているランは、お風呂場に持っていって一緒にシャワーを浴びることが多いです。そのほうが楽じゃないですか。ランはこれだけ種類があるので、自分のライフスタイルに合うランが必ずあると思います。

 

 週末のすごし方は?

 

 土曜日に借り温室で植え替えをしたり、水やりしたり、肥料をやったり。それからラン展が近ければそれに出品するために仕立てをしたり......という感じですね。日曜日はオフ日ですが、ランのイベントや例会があれば参加します。実家の温室のランは父と連絡を取りながら管理しており、定期的に帰省して様子を見たり、植え替えたりしています。

 

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大きなランから小型のランまで、数百鉢が並んでいる実家の温室(撮影:清水柾孝)

 

 ランの世話でいちばん忙しい時期は?

 

清水 春と秋の植え替えシーズンです。植え替えは2〜3年に1回が多いですね。去年植え替えたものはピンクのラベル、一昨年植え替えたのは別のラベルと決めているので、ラベルの色を見て、植え込み材料が傷んでいるものからどんどん植え替えていきます。植え替える年数はあくまで目安なので、調子の良し悪しによって、毎年植え替える鉢もあったりします。

 

 ランは難しいと思っている人に、こうすると失敗しない、というアドバイスがあればお願いします。

 

 私は今までもかなりの数を枯らしてきました。枯らして経験を積んでいくものでもあると思います。それでも続けられる人と続けられない人の違いは、「なんで枯れちゃったんだろうな」と考えるか考えないかだと思います。同じ種類を何度も何度も枯らして、「うちの環境じゃ無理」と思ったらやめますが、何度枯らしても育てたくなるランもあります。

 

 失敗しても、「もう1回やってみよう」と思う原動力は?

 

 やっぱりランが魅力的だからだと思います。例えば、好きな人に振られても好きという気持ちは心に残るじゃないですか。枯らしてもまた育てたいと思いますし、ちょっとしたことで歯車が狂っただけで、次にチャレンジしたら10年以上よく育っているランもあります。「1回枯らしたから自分には育てられない」という考えは持ってほしくないですね。

 

 勇気づけられます。ランは花を咲かせるのはハードル高くても、結構丈夫ですね。

 

 ランの生産小売店の温室を訪問すると、想像するほど花は咲いていないです。特にパフィオペディラムとか原種のランとか、みんな花がない株だけで買っています。ランのプロでも何年も咲かない株は沢山あると思います。だから咲かないことに不安を抱かないでもらいたい。私は講演で説明するときなどがありますが、「パフィオペディラムは2~3年に1回咲けばOKです」ってよく言います。

ランは「待てる人」と「考える人」が向いていると思います。待っている間は、咲いてくれるためにどうすればいいかな、こうしてみようかな、と考えている感じです。水やりも根腐れで枯らしちゃう人が多いので、待てる人のほうがうまくいきます。

 

 気長に待つのがラン栽培のコツですね。ランと一緒にスローライフを楽しみます!

 

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2021年1月に開催された「全日本蘭協会洋らん展」での優秀花の展示風景。清水さんが理事を務める全日本蘭協会は、毎年1月初旬、池袋のサンシャインシティで洋らん展を開催している(2022年は1月6日(木)~10日(月・祝)の予定)(撮影:清水柾孝)

 

<おわり>

 

前編はこちら!

 

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清水柾孝(しみず・まさたか)

1991年栃木県生まれ。東京農業大学大学院修了。園芸好きな祖父母の影響で幼少期から植物に親しみ、9歳から洋ランを栽培。園芸資材メーカーに勤務しながら、約1,000鉢のランの栽培と育種をおこなう。全日本蘭協会理事。多数の品評会、展示会で入賞。審査員も務める。

(撮影:田中雅也)

[清水さん関連記事] 今、熱い植物「フレッドクラーケアラ」>

 

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テキストこぼれ話」では、『趣味の園芸』テキストの特集に関連して、担当編集者による講師へのインタビューなどをウェブ限定で公開しています(毎月2回更新予定)

 

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