【発想の転換】栽培難関の着生ランも吊るしてみれば......
「ラン栽培は難しい」という声をよく耳にします。そんな園芸ファンにとって朗報になりそうな話題が、『JOGAレビューNo.28』(2021年秋号/非売品)に掲載されていました。題して「栽培難関オーキッドLEVEL5編」。筆者は和中雅人さん、テキスト『趣味の園芸』のなかの連載「今月の管理・作業 ラン」を執筆中のラン栽培家です。
JOGAというのは日本洋蘭農業協同組合(Japan Orchid Growers Association)のことで、ラン生産の発展と振興を企図する全国組織です。「JOGAレビュー」はその会報誌で、組合員相互の情報交流やらん展などのイベント情報を発信しています。
この「栽培難関オーキッドLEVEL5編」という和中さんの記事で最初に目をひいたのは、専門家でも難しいランがあるという点でした。そして読み進むうちに「さすがはランの専門家」と感じたのが、「難しいランは発想を転換」してみよう、「着生ランは吊るしてみよう」という内容でした。
ランには地生ランと着生ランがあり、家庭園芸でみると、たとえばシンビジウムやパフィオペディラム、エビネなどが地生ランです。一方、コチョウランやデンドロビウム、カトレアなどが着生ランになります。その着生ランを木に付けて吊るしてみると、これまで難関とされてきたランも難関ではなくなる、というのがこの記事の趣旨なのです。
「ラン栽培はこれまで、素焼き鉢に入れ、栽培棚に置いて管理することが一般的でした。そこに失敗する原因があったのでは? と考えました。そこでアタマを切り替えました。着生ランは本来、樹上にあるのだから、木に付けて吊るしてみたのです。そうするとこれまで難しいといわれてきたランも花が咲き、うまくいきそうだということがわかったのです。」(和中雅人さん)
どこかコロンブスの卵を思わせる和中さんの発想の転換です。彼は目下、「栽培難関」といわれてきたランについて、この視点からいろいろ試してデータを蓄積しているそうです。
さて、3月24日(木)~30日(水)、東京ドームのプリズムホールで「世界らん展2022」が開催されます。会期中、さまざまな着生ランや気に付けるグッズもショップで販売されています。和中さんの記事は、われわれ素人園芸とはいえ、いろいろなランを試してみたくなるような内容でした。
ブラジルに自生するカトレアの原種、ノビリオール マットグロッソタイプ。小型のランなので吊るして楽しむには好都合(写真提供:和中雅人さん)
「冬のらん展&ボタニカルフェア2022」(※開催終了)に出店された、和中雅人さんのショップ。木に付けたランが展示されている。
★「世界らん展2022-花と緑の祭典-」3月24日~3月30日開催!「趣味の園芸」番組でレポート〈3月27日放送予定〉
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【不定期連載】 園芸LOVE 原田が行く
「みんなの趣味の園芸」スタッフであり『趣味の園芸』シニアエディター・原田による園芸エッセイです。