梅雨どきも爽やかに。香り立つ花木~連載「木と暮らす12か月」第3回(2022年6月号)
風にそよぐ葉、空に向かって伸びる枝。四季折々に、多彩な姿を見せてくれる樹木。テキスト連載「木と暮らす12か月」では、「花が美しい」「葉が見どころ」など、毎月テーマに沿って「育てて楽しい樹木」を紹介します。
お気に入りの木と、一緒に暮らしてみませんか?
第3回「梅雨どきも爽やかに。香り立つ花木」
6月号に掲載した樹木のなかから、1本をご紹介!
――爽やかな香りが漂う 森のシャンデリア
エゴノキ
初夏、若緑色の葉の下に白い小花を鈴なりに咲かせるエゴノキ。花には爽やかな甘い香りがあります。枝いっぱいに花をつける姿から「森のシャンデリア」とも呼ばれます。
日本原産の花木で、『万葉集』にも登場します。英語名はジャパニーズ・スノーベル。シーボルトの著書『フローラ・ヤポニカ(日本植物誌)』では「日本の樹木のなかでも最も美しいものの一つ」と紹介されています。
このように、古くから日本で親しまれてきたエゴノキですが、和名がちょっと無骨なのは、果実に理由があります。果皮に含まれるエゴサポニンという有毒物質に独特のえぐみがあるからです。
サポニンには界面活性剤の作用があり、果実をすりつぶすと泡立つため、古くは石けん代わりに利用されていました。
そんなエゴノキは、日本原産であるため暑さにも寒さにも強く丈夫なので、園芸初心者にもおすすめ。成長も早く、シンボルツリーに最適です。
時折、枝先に小さなバナナ状の房がつきますが、これはエゴノネコアシアブラムシによる虫こぶ。生育に影響はないので放置してOK。(解説・鵜飼幸治)
6月号では、ほかにもおすすめの樹木を紹介しています!
★この号に掲載されています
★テキスト連載「木と暮らす12か月」
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