バジル 食べるだけではなく、飲んでみよう
家庭菜園で人気のハーブ、バジル。 スパイシーですっきりした芳香をもつバジルの魅力と楽しみ方を、薬学博士で植物療法に詳しい村上志緒(むらかみ・しお)さんに教えていただいた。
バジルの秘めたる力
「植物は、紫外線や細菌から身を守ったり、また受粉に協力してくれる昆虫を引きつけたりなど、自らの環境で生きていくためにフィトケミカルと呼ばれる機能性成分を作り、活かしています。特に揮発性の高い成分は香りとして放たれ、私たちの体にもさまざまな生理活性効果をもたらします。バジルの場合は、抗酸化作用をはじめ、抗炎症作用や消化促進作用、呼吸器系の不調改善作用、鎮静作用などがあります」
ハーブのもつ繊細な香りは脳を刺激し、免疫系、内分泌系(ホルモン系)、自律神経系にも働きかける。その結果、体全体のバランスを整えて保持してくれるそうだ。
おすすめはバジルティー
「ハーブの機能性成分を簡単に取り入れる方法は、ハーブティーにすることです。香り成分だけでなく、ポリフェノール類のような水溶性成分も摂取できます」
生のままでも、乾燥させてもよいとのこと。
「生のリーフティーにはバジルの生命力を強く感じられる香りがあり、ドライのリーフティーは成分によっては濃縮されるメリットがあります」
ハーブは乾燥させるとかさが減り、重量は約1/4になる。1つまみのハーブでも生とドライでは成分濃度が大きく異なることがわかる。
ティーには花穂も使う
バジルはサラダやペーストに使うことが多いが、香りのよいフレッシュバジルティーをぜひ試してみてほしい。有効な芳香成分は花の部分にも多く含まれているので、花穂がついていたら利用しよう。
花穂や茎はハサミで1~2cm長さにカットし、葉は手で軽くちぎってからポットに入れる。断面を多くすることで、芳香成分が出やすくなる。お湯を注いで必ずふたをし、揮発性成分を閉じ込めるようにして3分間蒸らせばOKだ。
いつの間にか堅くて大きくなってしまったバジルは、ドライハーブにしておけば、いつでも好きな時期に楽しむことができる。新しい使い方として、「バジルを飲んでみる」のはいかがだろうか。
構成・文/艸ラボ(石倉ヒロユキ、真木文絵)
『やさいの時間』テキスト連載「艸ラボの庭から ボタニカル通信」より抜粋
★この号に掲載されています