時を忘れる美しさ　秋バラの魅力

（撮影：今井秀治）

三重県・レッドヒル ヒーサーの森。広大な庭園の一角に、美しい秋バラの咲くガーデンがあります。深みを増した花色や香り、株姿に現れた品種の個性。調和のとれた美しい風景とともに、秋バラならではの魅力をじっくりと堪能することができます。

レッドヒル ヒーサーの森をはじめ、全国各地のローズガーデンのデザインや植栽を手がけるローズスタイリストの大野耕生（おおの・こうしょう）さんが、秋バラの魅力について教えてくれました。

洗練された一輪一輪の美しさ

秋のバラは、気温が下がり始めるころに蕾をつくり始め、つくられた蕾は低温の中でじっくりと時間をかけてふくらんでいきます。花開くまでの長い時間で、色はより深く、香りはより強く、花弁も多くなり、一輪一輪がより充実していきます。　

ビビッドな色の品種や絞り、覆輪などの模様が入った品種のなかには、春とは異なる色合いを見せてくれるものもあります。また、気温が低いため、美しい花の形や強い香りが長い間保たれます。秋には、花一輪一輪の魅力が最大限に引き出され、さらにそれを長期間にわたって楽しむことができるのです。

秋だからわかる品種の個性

冬の剪定からあまり時間がたっていない春は、各品種の生育に大きな差は出ませんが、秋には各品種の成長した姿を見ることができます。どのように成長し、どのくらい大きくなるのか、家庭で育てるために重要なこれらの情報を知るには、秋のローズガーデンに足を運ぶのが一番です。　
このガーデンには往年の名花から人気の新品種まで、さまざまなバラが植えられています。大野さんは「色合わせと品種の個性を生かした仕立て方がガーデンに来てくれた方の参考になれば」と考えたそう。秋に成長した姿を見て、気に入った品種の大苗を冬に購入するのがおすすめです。

レッドヒル ヒーサーの森に咲く秋バラ

ブルー・ムーン・ストーン
木立ち性。花色がピンクからラベンダー色に変化。一輪一輪色合いが異なる点が、石によって表情が違う宝石・ブルームーンストーンと似ていることから、大野さんが命名。

アジュール
木立ち性。弁先が爪のようにツンととがった、繊細な造形の花弁をもつ。上品な甘い香りがあり、春秋はもちろん、夏の花もかわいらしい。大野さん注目の品種。

（撮影：今井秀治）

『趣味の園芸』10月号では、レッドヒル ヒーサーの森の美しい風景と、大野さんのお話しをさらにお楽しみいただけます。

テキスト『趣味の園芸』2022年10月号「時を忘れる美しさ 秋バラの咲く庭を行く」より

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