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安田喜一さんに、ベランダでできるおすすめの果樹を教えてもらいました<熱帯果樹をはじめるなら>趣味の園芸11月号こぼれ話【後編】

安田喜一さんに、ベランダでできるおすすめの果樹を教えてもらいました<熱帯果樹をはじめるなら>趣味の園芸11月号こぼれ話【後編】

ウェブサイト「みんなの趣味の園芸」で読める「テキストこぼれ話」。『趣味の園芸』テキストの特集内容に関連して、誌面で紹介しきれなかった情報をお届けします。

 

11月号「2つのワザで実つきをよくする! 鉢植えレモン」の記事で、レモンの鉢植え栽培について教えてくれた、東海大学農学部特任講師の安田喜一(やすだ・きいち)さん。前編では、レモンの植え替えの必要性などについてのお話をうかがいましたが、後編では先生がご自宅で栽培している果樹についてお聞きしていきます。

 

安田(以下、安):お待たせしました。自宅のベランダでおすすめの熱帯果樹を発表します。それは......こちら!

 

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(撮影:編集部)

 

パッションフルーツです!

 

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パッションフルーツの花。(撮影:竹田正道)

 

トケイソウPassiflora spp.)の仲間で、4月下旬から5月下旬ごろに、1つの花につき1~2日だけ開花します。春に主枝から伸びた新梢の3~4節目から先に随時花が咲いていき、条件がよければ次々と開花していきます。中央に3つある、ハート形の緑のものが雌しべで、そのまわりを囲むように6つあるのが雄しべです。雄しべの裏に黄色の花粉がたっぷりついているので、楕円形の葯(やく。花粉の袋)を指でとって、雌しべに擦りつけるだけ。受粉すれば、ほぼ確実に8月に実がなりますよ。注意点としては、受粉の際には3つの雌しべすべてに花粉をつけることで、1~2つのみの受粉では奇形果や落果の原因になります。 

 

編集部(以下、編):南国の果物ですよね。東京でも育てられるのでしょうか。

 

:私は熊本県在住ですが、一番心配なのは冬の低温によって木が枯れることです。初夏から夏はむしろ猛暑日が多くなり、結実と成熟には問題ありませんし、冬に室内に入れてあげれば関東近郊でも大丈夫です。相当育ちのいい果樹なので。

 

編:室内に入れるといっても、つる植物ですよね。収拾がつかなくなりそうで心配です。

 

安:ごもっともですが、心配いりません。パッションフルーツはさし木が容易な植物なので、収穫したら、枝を切って、鉢にさし木をしてください。晩夏から秋にかけて根が生えて、小さな鉢に植えてあげると、冬の間は大きくならずにコンパクトに管理できます。病気も害虫もほとんどつきませんので、冬の観葉植物としても楽しめます。春に大きめの鉢に植え替えるか、地植えにしてあげると、すぐにぐーんと伸びて、また夏に実が楽しめます。

 

編:株を更新していくということですね! なるほど、これならつるでベランダがぐちゃぐちゃになってしまっても、元の株は処分すればいいんですね。

 

安:そうです。病害虫が極端に少ないので農薬いらず、剪定の心配もいらない、肥料もそこそこでなぜか生育旺盛、初心者向きでしょう?

 

編:パッションフルーツはとても栽培しやすい果樹なんですね! そして、簡単に室内に取り込めるので、関東でも冬越し可能、ということが理解できました。

 

安:はい、冬の後半は日当たりのよい窓際に置いてスタートダッシュをかけて、寒さが和らいだ春になったら外に出してやってください。晩霜だけ気をつけて、霜が降りそうな時は当たらないようにだけ対策してください。するとどんどん成長していきます。私はベランダに麻ひもをかけて吊るしています。パッションフルーツは結実してもそこまで重くならならないので、麻ひもで十分です。直径40cmくらいの1鉢ですがこのくらい収穫できますよ。パッションフルーツ、独特の風味と酸味で好き嫌いはありますけどね(笑)。私は大好きですが。是非、ご家庭で南国気分を味わってみてください。

 

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ベランダでたわわに実るパッションフルーツ。(撮影:安田喜一)

※集合住宅で育てる際は、避難はしごを遮らないなど、ルールを守って楽しみましょう。

 

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小さな1鉢で、受粉をすべてしなくても毎年この個数!(撮影:安田喜一)

 

編:食べきれるか心配になる量です。(笑)

 

安:私は最初の写真のようにモリモリと生食で消費するんですが、砂糖と煮詰めてソースも作ります。スライスしたステーキに少量かけると、フレンチな感じでよく合いますよ。

 

編:気軽にできる熱帯果樹、試してみたくなりました!

 

<終わり>

前編から読む

 

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安田喜一(やすだ・きいち)

専門は果樹園芸学。柑橘類の研究に従事。博士号(農学)を取得後、福岡県庁で果樹の普及指導員として生産者を指導。自宅アパートのベランダでʻ巨峰ʼやパッションフルーツ、キンカンなどの果樹を栽培し、息子と収穫を楽しんでいる。

 

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テキストこぼれ話」では、『趣味の園芸』テキストの特集に関連して、担当編集者による講師へのインタビューなどをウェブ限定で公開しています(毎月2回更新予定)

 

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おしゃれな雰囲気で人気のレモン。スライスしてドリンクやスイーツに入れたり、果汁を肉や魚料理にかけたり、果実1つだけでいろいろ味わえるのが魅力。苗木選びや植えつけ、実つきをよくするワザなど、鉢植えで気軽に育てる方法を安田さんが紹介します。

 

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