有機質肥料でトマトがおいしく育つワケ【やさいの時間4・5月号こぼれ話】
『やさいの時間』2023年4・5月号では、栽培スタートのタイミングとなる三大夏野菜、トマト・ナス・キュウリをおいしく育てるコツを大特集。そのなかでもトマトは、リン酸肥料をプラスすると甘みとうまみがアップ、特に有機質肥料がおすすめと誌面でも紹介しています。ではなぜ、有機質肥料がおいしさにつながるのでしょうか。誌面に紹介しきれなかった内容を紹介する「こぼれ話」で、そのメカニズムを解説します。
有機質肥料は、野菜にとって省エネ!?
長い間、肥料は有機質肥料であっても無機化してから植物に吸収される(下記チャート参照)といわれてきましたが、近年の研究で、アミノ酸などの有機体チッ素が植物に直接、吸収される場合もあるとわかってきました。有機体チッ素を直接吸収できれば、植物が無機体チッ素を吸収してアミノ酸を合成するためのエネルギーを使わずにすみます。結果的に、野菜にとっては省エネとなり、体力を温存できることが「有機栽培の野菜はおいしい」といわれることと無関係ではないと考えられるのです。
おいしさの決め手はアミノ酸にあり
有機体チッ素のなかでも、特においしさの決め手となるのが有機質肥料に含まれるアミノ酸です。料理の世界でもうま味のもとはアミノ酸といいますよね。有機質肥料にもさまざまな種類がありますが、おすすめは、アミノ酸を多く含む魚かす(魚粉)とバットグアノ。元肥に施すと、甘みとうまみの強いトマトに育ちます。料理でも魚で出汁(うまみ)をとることを考えると納得ですね!
次回の「こぼれ話」のテーマは、ナスを予定しています。お楽しみに!〈4月上旬頃公開予定〉
●やさいの時間テキスト こぼれ話
『やさいの時間』編集部によるテキストこぼれ話。誌面で紹介しきれなかったお役立ち情報を、ウェブサイト「みんなの趣味の園芸」で公開!【不定期公開】
家庭菜園で人気の三大夏野菜、トマト・キュウリ・ナスを特集。初めてでも失敗しない基本の栽培の解説に加えて、「おいしさ」に焦点を当て、味にこだわる栽培法や品種も紹介。