チャレンジしやすい「一年草」で、この春園芸をはじめよう!
苗を植えつければすぐに花を楽しめる手軽さが魅力の一年草。「花色や大きさのバリエーションが年々ふえ、丈夫で使い勝手のよい品種がたくさん出ています」と語るのは、番組でもおなじみの杉井志織(すぎい・しおり)さん。『趣味の園芸』4月号では、いま育てたい10の一年草を紹介いただきました。
この春、チャレンジしやすい一年草で園芸を始めてみませんか? 杉井さんが、その魅力を教えてくれました。
《一年草(いちねんそう)とは?》
タネをまいてから1年のうちに花が咲き、実をつけ、枯れてしまう草花のこと。春にタネをまいて育てる「春まき一年草」と秋にタネをまいて育てる「秋まき一年草」があります。前者にはサルビア、ペチュニア、コスモス、後者にはパンジー、ビオラ、スイートピー、デージーなどがあります。(園芸用語集「一年草」より)
一年草って、楽しい!
私が園芸店に勤めだしたころ、ピンクのデージーに出会ったときの感動は忘れられません。それまで赤と白しかなかったのに、ピンク! その後も改良が進み、最近は花形が大きくてよく咲くデージーが人気です。そんなふうに、園芸愛好家のニーズと生産者側の努力があって、多くの一年草は花の美しさだけでなく、丈夫さや育てやすさ、連続開花性が格段にアップしました。
玄関前やコンテナなど限られたスペースを、季節ごとの「らしさ」で彩るとき、一年草の種類の豊富さや次々咲いてくれる楽しさは、大きな原動力になってくれると思います。
まずは自分の直感を信じて、雑誌で見た憧れの景色を再現したり、好きな花色で埋めつくしたり。一年草のある暮らしを「遊び」として、思う存分楽しんでみてください。
いま育てたい一年草
『趣味の園芸』4月号で紹介した一年草のなかから、3つをご紹介。
草丈の高さが春の花壇で映える! ルピナス
立ち上がるような草丈の高さと青みがかった葉が魅力。「ノボリフジ」の別名があるようにフジの花を逆さにしたようで、高低差を生かした植栽に向く。大きな花穂の品種やコンパクトな品種などバリエーションが多く、色幅も豊富。写真は矮性の'ピクシー・デライト'。一年草扱い。
庭でも鉢でも愛らしい存在感 チロリアンデージー
細かい花びらが密にこんもり丸みを帯び、くるみボタンを思わせる花形。従来の小さなものから、最近では花の大きな品種が人気。赤やピンク、白、複色など花色が豊富で、寒い時期からよく咲き、連続開花性にも優れる。写真は'ハイジ'。
ビビッドなビタミンカラーが魅力! ネメシア
地面を覆うように茂る葉から、花茎がすっと伸び、小輪花がかんざしのように集まって咲く。黄、赤、白など花色のバリエーションが豊富で、寄せ植えの素材としても楽しい。宿根タイプもあるが写真は一年草のネメシア。
*今回紹介するなかには、分類上、多年草とされるものも含まれていますが、暖地で一般的に戸外で栽培した場合に越年が難しいものは、一年草扱いとして紹介しています。
園芸研究家 杉井志織(すぎい・しおり)/建築を学んだのち、園芸の世界へ。庭の植栽設計や管理、花壇ボランティア運営の指導を行うほか、フラワーショーなどのイベント装飾も手がける。NHK「あさイチ・グリーンスタイル」でもおなじみ。
撮影:田中雅也
『趣味の園芸』4月号では、創刊50周年を記念して、杉井さんによる一年草10選をはじめ、6人の講師が厳選した、いまこそ育ててほしい植物50種を一挙に紹介しています。
『趣味の園芸』2023年4月号 いま育てたい植物50「春を楽しく「遊ぶ」一年草10選」より
【創刊50周年記念号】いまこそ育ててほしい植物50種を一挙紹介! 稲垣吾郎さんの「グリーンサム」新シリーズや、「らんまん」で注目の牧野富太郎関連企画、楽しい新連載もスタート。豪華な愛読者プレゼント&とじ込み付録「栽培計画シート」も!