何年にもわたって育つ「多年草」 長~く育てる3つのポイント
多年草は、一度植えると何年にもわたって育つ植物。年々大株になって花数もふえていきます。『趣味の園芸』4月号では、「興味がある植物はとことん栽培する」という花のスペシャリスト金子明人(かねこ・あきひと)さんに、いま育てたい多年草10種を選りすぐってもらいました。
ここでは、多年草を長く育てる3つのポイントを紹介! 栽培の極意は植物の健康を保つこと。そのひと手間が今後の開花に影響します。
《多年草(たねんそう)って?》
多年草は、開花・結実したあとも株が枯れず、何年にもわたって生育する草本性の植物。一年中葉がある常緑性や、冬か夏に地上部を枯らし、根と地下茎などだけで苦手な季節を過ごす植物もあります。多年草のうち、地下部がふくらんだものを「球根植物」といいます。冬に地上部が枯れるものを含み「宿根草(しゅっこんそう)」も多年草です。
多年草を長く育てる3つのポイント
【ポイント1】苗を購入したら一回り大きい鉢に「植えつけ」
購入した苗を、小さいポリポット(柔らかいポット)のまま育てていると、ポットの中で根詰まりして株が弱ります。苗をそっと抜いて植え替え、根が伸びるスペースをつくりましょう。用土は草花用の培養土で大丈夫。硬いプラスチック鉢の苗も同様ですが、こちらは次の植え替え適期を待ってもかまいません。
【ポイント2】夏は風を通してなるべく涼しく
昨今の酷暑では、人間だけでなく多年草も弱ります。なるべく西日には当てず、風通しがよい場所で管理しましょう。熱いコンクリートの上には直接鉢を置かず、すのこを敷くなどします。特にシクラメンやプリムラなど夏が苦手なものは日陰に移動させ、涼しい場所で夏越しさせましょう。
株元の古い葉や枯れ葉は病気や害虫の発生のもとになるので、早めに取り除きます。水やりは、日中に鉢の中が蒸れないように早朝か夕方に。
【ポイント3】冬は寒さから守る
霜が当たったり、用土の水分が凍ったり解けたりを繰り返すと植物は弱ります。株元の地面を腐葉土やバークチップなどで覆うと防寒できます。夜間に鉢内の水分が凍結するのを防ぐため、水やりは暖かい午前中に行いましょう。
多様な花や葉と、大株に育てる楽しみ
『趣味の園芸』との出会いは小学生のとき。読者からやがて講師になりました。4月号では、その長い園芸生活で出会った多年草のなかから、①自分が好きな植物で、②多様な花や葉の品種があり、③ほとんど手間いらずで株が年々大きく育ち花数もふえる植物を選びました。
長い栽培の歴史をもつ多年草は、日々品種改良が進んでいます。原種系のシンプルな花や葉にも、品種改良により多様で豪華になった花や葉にも、それぞれの美しさがあります。多くの植物と出会い、好きな種類を見つけてください。(金子明人さん)
園芸研究家 金子明人(かねこ・あきひと)/幅広い植物の知識をもち、テレビや雑誌、講演会などで植物の栽培方法を伝えている。出会った植物の数は無数、これまで栽培した種類も無数。「みんなの趣味の園芸」で園芸日記公開中!
撮影:田中雅也
『趣味の園芸』4月号では、創刊50周年を記念して、金子さんさんによる多年草10選をはじめ、6人の講師が厳選した、いまこそ育ててほしい植物50種を一挙に紹介しています。
『趣味の園芸』2023年4月号 いま育てたい植物50「庭植えでも鉢植えでも 長~く育てたい多年草10選」より
【創刊50周年記念号】いまこそ育ててほしい植物50種を一挙紹介! 稲垣吾郎さんの「グリーンサム」新シリーズや、「らんまん」で注目の牧野富太郎関連企画、楽しい新連載もスタート。豪華な愛読者プレゼント&とじ込み付録「栽培計画シート」も!