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イカリソウだけで180品種!川原田さんの植物愛が止まらない「夢はビルの屋上に山野草ガーデン」【私の植物偏愛記・5月号こぼれ話】

イカリソウだけで180品種!川原田さんの植物愛が止まらない「夢はビルの屋上に山野草ガーデン」【私の植物偏愛記・5月号こぼれ話】
アジサイ栽培の第一人者として有名な川原田邦彦さん。5月号では愛するフジについて語っていただいだ。写真は、エスパリエ(壁面)仕立てにした‘浅黄藤(あさぎふじ)’と。(撮影/田中雅也)

『趣味の園芸』2024年4月号からスタートした新連載「私の植物偏愛記」。5月号では、アジサイ栽培の第一人者として知られる川原田邦彦さんに、フジへの愛を語っていただきました。

アジサイやフジなど、「花木のプロ」として知られる川原田さんですが、じつは山野草も大好きなんだとか。ウェブだけで読めるこの「こぼれ話」では、イカリソウやイチリンソウなど、川原田さんの山野草コレクションを紹介していただきます!

 

気がつけば180品種! 川原田さんが愛するイカリソウ

 

編集部(以下、編):川原田さんが「ビルの屋上に高山植物のガーデンをつくってみたい」とおっしゃるのには驚きました(5月号p.144参照)。「そんなことができるのか」というのと、川原田さんといえばやはり「花木のプロ」のイメージがあったので。

 

川原田邦彦(以下、川):私は「花木のプロ」と名乗ったことはじつはないんです。山野草も好きで、いろいろ手広く集めていますよ。なかでも、今は特にイカリソウの収集に力を入れています。180品種ぐらい持っていますよ。

 

編:180品種!? そんなに品種があることも知りませんでした。

 

川:いくつか紹介しましょう。

まずはこれ、シーラーツムです。純白の花弁が美しい!小鳥やチョウが優雅に舞っているようにも見えませんか?

 

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シーラーツム(写真提供/川原田邦彦)

 

続いてこちら、オギスイ'ディアン'。中国原産の白花の原種(オギスイ)から生まれた品種で、外側は淡い紫色、中央部は白色の2色咲きです。

 

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オギスイ'ディアン'(写真提供/川原田邦彦)

 

ほかには、黄花で鋸歯のある葉も特徴的な'ファンギー'、黄~オレンジ色で花形がおもしろい'彩'なんかも好きですね。

 

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'ファンギー'(写真提供/川原田邦彦)

 

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'彩'(写真提供/川原田邦彦)

 

編:花色も花形もこんなにバリエーション豊富なのですね!

 

みんなのイカリソウの写真を見る >

 

イチリンソウは30種類、ヤマツツジとクサボケは50品種ずつ

 

川:イチリンソウの仲間も30ほどの種類を収集保存しています。もともとはニリンソウと西洋原産の種類が少し園内にもあるぐらいでした。懇意にしていた千葉大学の先生にユキワリイチゲをいただいて、それを園内に植えたら群生して見事に咲いてくれました。本格的に収集するようになったのは、それがきっかけです。

 

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イチリンソウ'加賀緑宝'は緑色と白の2色で半八重咲き。(写真提供/川原田邦彦)

 

川:あと、木本ですが、山野草の愛好家にも好まれているヤマツツジも好きですね。もともと園内にツツジの品種が多くありました。大木もあって、興味もあったのですが、ほかの植物をいろいろ見ている間に枯らしてしまい......。

ツツジの仲間でも、昔はヤマツツジにはそれほど興味をもっていませんでした。でも、品種が少しずつ集まってくると、それとともに興味も出てきて、いまは50品種ほど園内に保存しています。

 

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ヤマツツジ'沢雪'(写真提供/川原田邦彦)

 

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ヤマツツジ'大文字山'(写真提供/川原田邦彦)

 

川:花木の話もしてしまったので、ついでにもうひとつ紹介させてください! クサボケって知っていますか?

 

編:初めて聞きました。庭木や盆栽などでよく見るボケとは違うのでしょうか?

 

川:ボケは中国原産のChaenomeles speciosaを指し、クサボケは日本原産のChaenomeles japonicaを指します。どちらも落葉低木で、花期も同じで、花もよく似ています。一般に、クサボケのほうが樹高は低く、横に枝を伸ばします。名前のとおり、草のように茂るイメージです。

昔は、そのへんの野山でクサボケをふつうに見ることができました。今では、手入れをされなくなって山が荒れたり、開発されてしまったりで、身近で自生している姿を見られることはほとんどありません。オレンジ色の花は春を感じさせてくれます。ヤマツツジと同じように、興味をもって調べていくとどんどん知らなかった品種が見つかって、今では50品種ほど集めています。

 

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八重咲きのクサボケ(写真提供/川原田邦彦)

 

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'埼玉赤'(写真提供/川原田邦彦)

 

川原田さんもまだまだ「浅い」!?

 

編:ウェブとはいえ、そろそろ止めさせてください(笑) 「花木の専門家」というイメージが間違っていたことがよくわかりました。

 

川:こういう仕事をしていると「ご専門は?」とよく聞かれます。もちろん花木にも力を入れてやってきましたが、私はいつも「広く、浅くやっています」と答えるようにしているんです。父もそうでした。

 

編:「広く」はよくわかりますが、「浅く」でしょうか......?

 

川:私の「浅く」は「各植物のプロや専門家と話をして恥ずかしくない程度に浅く」という意味です。

 

編:それは「浅く」ないと思います(笑)

 

川:どれだけ勉強、研究しても、知らない種類や品種がまだまだあったり、栽培方法についても新しい発見があったりするのが植物です。私もまだまだ「浅い」なと思いますよ。何年つき合っていても、飽きることはありません。

 

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川原田邦彦(かわらだ・くにひこ)

園芸研究家。茨城県で庭木や宿根草などの生産、販売、造園などを幅広く手がける。植物全般に詳しく、特にアジサイに造詣が深く、900品種以上を収集・栽培している。わかりやすい解説に定評がある。著書に『12か月栽培ナビ アジサイ』『よくわかる栽培12か月 フジ』(NHK出版)ほか多数。

 

『趣味の園芸』連載 「私の植物偏愛記」(2024年4月号~)

本誌で活躍する講師のみなさんに、「愛好家」としてのお話を聞いていきます。「こんな植物が好きだったのか」と意外な側面を発見しつつ、植物に対する熱い思いもたっぷり教えてもらいましょう。

5月号掲載・第2回では、川原田さんが大好きなフジについてお話を伺いました。「みんなの趣味の園芸」で募集したみなさんからのフジの写真も、川原田さんのコメントとともにご紹介しています。テキストでご覧ください!

 

『趣味の園芸』2024年5月号

 

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『趣味の園芸』編集部によるテキストこぼれ話。最新号の特集や記事に関連して、誌面で紹介しきれなかった情報を、ウェブ限定でお届けします。

 

 

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