toraji2023さんの園芸日記
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アヤメ開花、ナガミヒナゲシ雑感

2024/05/03
アヤメ開花、ナガミヒナゲシ雑感 拡大 写真1 アヤメ開花、ナガミヒナゲシ雑感 拡大 写真2

朝起きたらアヤメが咲いていた。期待を裏切らない澄んだ青紫色(写真1)。

ところで、「ナガミヒナゲシは有毒植物で危険」「素手で抜くとかぶれる」といったことが報道や自治体の通知でよく言われているらしい。たとえばこういうの。↓

道端に咲く可憐な花に有毒成分!? 「素手で触るとかぶれる恐れ」 外来種“ナガミヒナゲシ”に注意!
https://news.nsttv.com/mag/35847/

別に全くの嘘ではないし、増えすぎるナガミヒナゲシの駆除を呼びかけるのにも反対ではないのだが、記述のあちこちに違和感が。

まず、こういう書き方だとナガミヒナゲシだけに特に毒があるように見えてしまうのだが、だいたいケシ科植物なんてほぼみんな有毒ですよ。皆さんが大事に育てているヒナゲシとかアイスランドポピーとか最近人気のアメージンググレイとか、どれも有毒。食べたらあたるし、素手で触りまくったら人によってはかぶれるだろう。ただそういう機会が少ないだけで。
ちなみに、ケシ科に並んで「ほぼみんな毒」かつ人に愛される園芸植物が多いのがキンポウゲ科。「美しい花には毒がある」はこの科に一番似合う気がする。有名な毒草トリカブトがキンポウゲ科だが、アネモネもラナンキュラスもオダマキもオキナグサもみんなキンポウゲ科で、もれなく毒草である。(イチリンソウやニリンソウは毒が弱めで、山菜として食べたりもするらしいが。)キンポウゲ科植物を育てている人は、「これは毒草」を頭の隅に置いておいてもいいかもしれない。

また毒といっても、「食べたらあたる毒」と「触ってかぶれる毒」は同じではないはずだが、上のようなナガミヒナゲシの記事では、「アルカロイド成分」という何の成分か全くわからない総称で書かれていたりする。自治体の通知などを見ても、ナガミヒナゲシのどの成分がどういう毒なのか具体的に書いているものが見当たらない。
ケシ科植物の毒であり薬にもなる有名なアルカロイド成分といえばまずはモルヒネだが、日本で栽培禁止になっていないことからわかるように、ナガミヒナゲシはモルヒネをほとんど含まないようだ。だから「アルカロイド成分」は他の何かで、それはそれで毒なのだろう。しかし、ケシ科植物に含まれ、触るとかぶれるアルカロイド成分とは、はたして何?
そこで少し調べてみると、ケシ科植物に含まれ皮膚がただれるアルカロイドとしてはサンギナリンが有名なようだ。園芸好きならこの名前でピンとくる人もいるはず。あの柏餅のようなかわいい蕾をつけるカナダゲシ、学名サンギナリアから見つかった物質である。しかし、このサンギナリンがナガミヒナゲシに特に多いというような情報も見当たらない。むしろ、調べていたらハナビシソウ(これもケシ科)がこの物質を割と含んでいるようだ。「素手で抜くな」を広報するなら、ハナビシソウについても言うべきかもしれない。
他にもケシ科植物がよく含むアルカロイドにはプロトピン、クリプトピン、ケリドニンなどがあり、ナガミヒナゲシもこういうものをそれなりに持っているのだろうが、そのどれが「触るとかぶれる」に当たるのかは今ひとつはっきりしない。

つまり言いたいのは、ナガミヒナゲシの駆除を呼びかけるとして、「有毒」を強調するのはちょっと違うのではないかということ。「人によっては触るとかぶれる」草など他にいくらでもある。
思うに、ナガミヒナゲシをある程度駆除した方がいいのは、単に繁殖力が強すぎるからだ。農業であれ園芸であれ、居住環境の管理であれ、「雑草」の駆除は基本である。「有毒」や「外来種」を変に強調して怖がらせるのではなく、単に「よく増える雑草だから」適当に駆除する、でいいのではないか。

というようなことを考えていたところ、似たような穏健論を述べている専門家がいた。ナガミヒナゲシのアレロパシーとかいうのも、専門家の観点から見てたいしたものではないそうだ。
https://danyome.salty.style/nagami-hinageshi/

"ナガミヒナゲシは、現在のところ、環境省が外来生物法で定めている、駆除対象となる「特定外来生物」にも、また、旧要注意外来生物(いまは、生態系被害防止外来種リスト)にも指定されていませんので、個人で栽培するのは自由です。

ただ、繁殖力が強いため、意図しない場所で繁茂している場合、これを「雑草」とお考えの場合には、駆除されるのがよいと思います。"

"ナガミヒナゲシにかぎらず、このような外来植物が日本の生態系を壊す、日本の在来種を駆逐する、ということを研究の裏付けもなく発信し、危険外来植物というレッテルを張ることがないようにお願いいたします。

ナガミヒナゲシも結局は新しい雑草が入ってきたと考えています。くれぐれも、危険意識を煽ることがないようにお願いいたします。"


写真2枚目は、ちょうど昨日道端で見かけて撮ったナガミヒナゲシの写真。このへんではもうすっかり春の風景に溶け込んでいて、この植物がいなくなったら道端はずいぶん寂しくなるだろう。陽を透かして光る花弁が美しく、私は割と好きな花だ。
(「個人で栽培するのは自由」といっても、種を広くばらまいてしまいそうなので持ち帰って育てるのは自粛するけれど。)

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