私はオレンジ色のバラを使って、自分で交配を楽しんでみたくて、ミニバラ(黄)とHT(明橙~桃色)を交配しています。その過程で、「そもそも花色ってどう決まるの?」という疑問がわいたので調べてみました。
(※)長文です。読了目安10分。ご留意ください
【青いバラを生み出した SUNTORY】
https://www.suntory.co.jp/sic/research/s_bluerose/related/color.html
見事な、紫がかった青薔薇「APPLAUSE」の開発話に、分かり良い説明がありました。論文を読んでも、構造式や学術用語を理解できない私には、ハードルが高い説明ばかりですが……SUNTORY HPの説明はさすが一般向け、分かりやすいです。
赤色 >シアニジン(フラボノイド)
橙色 >ペラルゴニジン(フラボノイド)
黄色 >カロテノイド
>オーロン、カルコン(フラボノイド)
青色 >ロザシアニン(フラボノイド/青竜など)
これを基本とし、カロテノイドとフラボノイドでは発色の構造が異なると書いてあります。
※APPLAUSE は遺伝子組み換えで「デルフィニジン」を有しているため青い。「ロザデルフィン」はこの色素のことか?
色素と、その発色機序
【農研機構】より
▼花色のしくみ🔰 ←オススメ‼️
https://www.naro.go.jp/laboratory/nivfs/kiso/color_mechanism/index.html
▼色素の基礎知識
https://www.naro.go.jp/laboratory/nivfs/kiso/color_shikiso/index.html
▼橙色の花とは🔰
https://www.naro.go.jp/laboratory/nivfs/kiso/color_mechanism/contents/orange.html
▼黄色の花とは🔰
https://www.naro.go.jp/laboratory/nivfs/kiso/color_mechanism/contents/yellow.html
※正式名「国立研究開発法人 農業・食品産業技術総合研究機構」
【株式会社鹿光生物科学研究所】より
https://www.rokkou-co.jp/wp/home/food_color_main/
▼カロテノイドの生理活性
https://x.gd/3OBOqQ (短縮URLのため失効時は上記URLから)
いずれも非常に分かり良いサイトです。ここまで調べてみて、何となく花色決定要素が見えてきました。温度や日照は言うに及ばずなので、化合物に絞って整理します。
>フラボノイドの決定要素
・蓄積濃度
・pH
・カロテノイドとのバランス
>カロテノイドの決定要素
・蓄積濃度
・フラボノイドとのバランス
農研機構によると、
―――――――――――――――――――――――――
キク以外にもバラ(図22)、チューリップの橙色はアントシアニンとカロテノイドが合わさって発現しています。やはりキクと同じように橙色の花弁をもつ野生種は無く、交雑により両方の色素を持つように育種されました。
( https://x.gd/wRmu8 )「橙色」より
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バラの場合は、カロテノイド組成が品種によって異なっています。また、β,β-カロテノイドを多く貯める傾向があります。例えば'ゴールドサム'や'イエローメイアンディナ'はビオラキサンチンやゼアキサンチン、β-カロテンが主要なカロテノイドですが、'セレーネ'や'シューティングスター'はビオラキサンチンやルテオキサンチンが主要なカロテノイドです。
( https://x.gd/kBIY3 )「黄色」より
―――――――――――――――――――――――――
といった性質があるそうで。
これは私にとって嬉しい情報です。グラデーションが発生していると「アントシアニン」とばかり思っていましたが、実はカロテノイドの蓄積濃度や、両者の相補的・対立的関係によって色の変化が起きているのでしょう。
ピンク色の発色については、アントシアニンの影響が強いと分かったため、親株選びに役立ちそうです。さらに「茶色」の発色には、
―――――――――――――――――――――――――
アントシアニンとカロテノイドの組み合わせでは橙色や黒色になる場合もあります。アントシアニンが多量に存在する場合は黒色になりますが、少量だと橙色、その中間だと茶色になります。黒色同様に、アントシアニンの中でもデルフィニジンやシアニジンが貯まっているときに茶色になる傾向があります。
(「茶色・褐色」より https://www.naro.go.jp/laboratory/nivfs/kiso/color_mechanism/contents/brown.html )
―――――――――――――――――――――――――
という説明があります。
つまり、バラにおいては赤色を呈する「シアニジン」と、黄色を呈する「ペラルゴニジン」「カロテノイド」の関係が「茶色」を作るのです。
※デルフィニジンはSUNTORYの説明通り、APPLAUSE以外には含まれていません。
どうでしょうか。
バラを見る目というか、花色を見る目が少し変わりそうな情報だと思います。全く詳しいことは理解していませんし、それをどう親株選びに活用するのかも分かりませんが、知ることから始めるのは常に楽しいものです。
来春に種から生まれてくる子たちの性質を見て、選別する時。単なる自己判断だけでなく、情報があるのはありがたい事です。まだ「捕らぬ狸の皮算用」ですが、楽しみでなりません。
こんな長文をお読み下さって、ありがとうございました。
(過去記事へのいいねも、ありがとうございます)
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どのお色もきれい✨
返信するもう薔薇栽培はやめましたが
いつも 楽しみに 拝読させていただいています😊
薔薇から話が逸れて申し訳ありませんが
返信するオーレア系クリローさん
アプリコットジェラート 今 どんな感じですか?
梅雨越し 夏越し したいです☆
ちゅりさん
いつも、コメントありがとうございます!
クリロー、アプリコットジェラートなのですが、花芽らしきものは上がったものの枯れてしまい、葉がグングン増えて10枚くらいになっています。
夏越しは余裕でできそうな体力で、この感じなら来年咲いてくれるのかしら……と思っています。花は咲かなかったけど、元気です🌱
夏越しにあたり、樹木の陰に入るので大丈夫かな。午前中、3時間くらい日が当たりますが、地温は下草のおかげで上がりません。ヒューケラと樹木に囲まれて育っています。
そだレポの更新、忘れていました!
少しでも書いておきますね。
コメントありがとうございました😊
教えてくださってありがとうございます
返信する葉っぱ10枚、良い感じですね
ウチのアプリコットさんは元の2枚から新葉3枚増えて5枚、相変わらずほかのコよりゆっくりさん、プチドールちゃんはもうプチとは呼べないほどワサワサです
そだレポ更新 楽しみです♪
バラの花色は、たくさんあって綺麗ですね。我が家のバラも、赤、白、黄色、紫色・・・いろいろあります。長文を拝読させていただきました。バラの挿し木や接ぎ木をする愛好家は多いけど、交配をする人は専門家以外ではあまりいないですね。以前、青バラが好きになって数種類、購入したことがあります。有名な小林治氏の青龍、青の奇跡、河本バラ・・・全体的に弱いですね。サントリーの青バラは遺伝子組み換えと聞いたことがあります。バラには青色の色素遺伝子がないのでサントリーが別の植物の遺伝子を組み込んだと聞きました。小林氏の青龍は青の遺伝子が見つかったバラらしいですね。いりいろ興味があるので、あなたの他の日記、育レポ、拝読してみますね。
返信するコメントありがとうございます。
バラは栽培法として「花は終わったら切りましょう」と教わるので、種まきしてみようと思わない事が要因かも……と思います。種をつけるだけなら、難しいことでは無いのに勿体ないです。
「青竜」について、知りませんでした!
「ロザシアニン」というのですね。青竜の交配親「マダムビオレ(寺西菊雄氏 作出)」からも検出されているそうです。
★こちらの論文から
2015-11-26
Publication of WO2015178385A1
→ https://00m.in/kMoTp
青薔薇は弱いと聞き、私はまだ栽培したことがないのです。最近作出された「ポルト・ブルー」等は、月1回の薬剤散布でよく育つというので、実は育ててみたいと思っています。けれど場所がなく……
ミニバラで青系を入手しようと考えています。
貴重な情報をありがとうございました!
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