sakaki_Sさんの園芸日記

バラ ご先祖にみる名花・古花

2024/06/22
バラ ご先祖にみる名花・古花 拡大 写真1 バラ ご先祖にみる名花・古花 拡大 写真2 バラ ご先祖にみる名花・古花 拡大 写真3

ケニギンのご先祖で、何度か交配親となっている品種があります。その花容や樹形、葉の色形、新梢の色形などを見ていくと、確かに先祖なのだと思わされます。性質を受け継いでいることがよく分かる例について、まとめてみました。(引用元は最下部に列記)
▼(参考)ケニギン・ベアトリクスの系譜|PDF
https://drive.google.com/file/d/1szUwms-U4I3QrUlMqoGwqR4JYcUfyJrH/view

【近い祖先たちの花容】
まずは祖父母~曾祖父母あたりを見ていきます。

▼父|ELIZABETH OF GLAMIS|子孫6種・花粉親3回
https://rossroses.com.au/product/elizabeth-of-glamis-2/
 →Anytime などの親 https://garden.org/plants/parentage/1287/
 ※Patriciaは ElizabethOfGlamis の枝変わりのため、Glamisを父として扱います。
▼祖母|Spartan|子孫18種・花粉親8回
https://garden.org/plants/view/3342/Rose-Rosa-Spartan/
→ブライダルピンク、フラメンコ、プリンセス・ミチコなどの親 https://garden.org/plants/parentage/3342/
▼曾祖父|Independence(Tetraploid)|子孫25種・花粉親18回
https://roseraie.jp/barazukan/independence/
 →クリスチャンディオール、カクテルなどの親
 > https://garden.org/plants/parentage/703260/
 > https://himenobaraen.jp/?s=Independence
▼曾祖父|Fashion(Tetraploid)|子孫23種・花粉親18回
https://himenobaraen.jp/item/fashion
 →オレンジセンセーション、セブンティーン、マ・パーキンスなどの親 https://garden.org/plants/parentage/1315/
いずれも桃色系の美しい品種ですが、花芯に黄色を秘めています。「Pinocchio」から受け継がれた橙色は「Fashion」を経て「Spartan」で開花し、Spartanは多くの橙色の美しいバラを生み出しています(アプリコット・ネクターなど8種)。一方で興味深いことに、白や桃色や朱色も生み出しており、各祖先の形質が度々現れていることを知らせます。

【優れた交配親としての”銘花”】
▼クリムソングローリー|Crimson Glory|HT
https://himenobaraen.jp/item/crimson_glory
 →子孫20種:https://garden.org/plants/parentage/1079/
▼エヴァ|Eva|HMsk
https://himenobaraen.jp/item/eva
 →子孫9種: https://garden.org/plants/parentage/734/

今更ですが上記の資料に記載された内容は”判明している種”のみであり、Unnamed Seedling の中に子孫がいる可能性はあります。そしてこの2種は、ケニギンの先祖として2~3回登場します。
Eva は曾曾曾祖母(1回)、曾曾曾曾祖母(1回)
CrimsonGlory は曾曾祖父(2回)、曾曾祖母(1回)
Evaは一重の赤色で、種子親として優れた性質を持っているのでしょう。9種中6種において母となっています。CrimsonGloryは八重のベルベットな赤色で、言わずと知れた名花です。20種中16種において父となっています。明確に母としての活躍と、父としての活躍に分かれました。これはなぜか。育種家たちが目的をもって、求める花のためにEva や CrimsonGlory を使ったこと。株の倍数体や稔性に育種が左右される場合があること。それらを踏まえて理解する必要があります。つまり種子親としてハイブリッドムスクのEvaを使ったのは、実付きの良さや樹形樹勢・花付きの良さ・香りなどが求められたからか。花粉親としてHTのCrimsonGloryを使ったのは、剣弁咲きの過去にないベルベットな紅色や、HTの樹形樹勢・花の大きさなどを求めたからか(実付きが悪かったのかも知れない)。このような想像を膨らませるのも、バラ交配をする楽しみのひとつでしょう。

【倍数体と稔性の関係】
バラのなかには、どう頑張っても種を付けにくいものがあります。自家不和合性に限らず、奇数倍数体や4倍体のために種子形成不全になる場合もあります。では親になれないかと言えば、そうでは無いのです。そんな品種は花粉親としての活躍ができるのです。花粉に含まれる精細胞の突然変異によって、奇数倍数体でありながら交配に成功する場合があるそうです。花粉は雌しべよりもずっと多く、突然変異の頻度に期待できるからだと。この観点で調べてみると、ケニギンの直接の親であるGlamisや、曾祖父たち(Fashion, Independence)は花粉親の活躍が多く、さらに曾祖父たちは4倍体(Tetraploid)です。ケニギンが受粉に失敗するのは「4倍体だから」かも知れません。その可能性を強める、祖先の情報が集まったのでした。

こういった情報を集めていくと、失敗した時の気持ちが楽になります。もとより、結果しにくい品種だと分かれば試行回数を増やすだけですもの。難しく考える必要はありません😂
引き続き、ケニギンの受粉はNaClや老花を用いて頑張ってみるつもりです。ノイバラは結実したので希望はあると信じて🔰

【URLの引用元】
Copyright © 2024 姫野ばら園 八ヶ岳農場. All Rights Reserved.
Copyright © バラ図鑑 All Rights Reserved.
Rosa 'Spartan'(26 December 2016, at 13:42.). In Wikipedia: The Free Encyclopedia. Retrieved from https://en.wikipedia.org/wiki/Rosa_%27Spartan%27#
& wikimedia.org
"PLANTS DATABASE" from © 1972 - 2024 National Gardening Association Times are presented in US Central Standard Time
"Ross Roses Established 1902" © 2024 Ross Roses. All rights reserved. Powered by Moxitek
 ※子孫を調べる時は「Child Plants」や「offspring」で調べると良いです。

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