鉢植え100%さんの園芸日記

【2024改訂】農薬ローテーション参考⑥

2024/07/01

≪殺ダニ剤①≫

ハダニは卵→幼虫→成虫のサイクルが30日程度と短く、気門封鎖系をのぞき、通常の化学農薬にはたちまち耐性を身につけてしまいます。そのため、大量発生した際には気門封鎖系で叩き、数を減じてから化学農薬または葉水で叩くというような対処になります。
とにかく、化学農薬の殺ダニ剤の連用は禁止です。

【IRACコード1B】有機リン系

神経伝達物質アセチルコリンの分解酵素を阻害し、処理された虫は過剰に興奮した状態になり、歩行異常でフラフラとしたり、植物につかまっていられず落ちたりして、最終的に麻痺して死亡する。
アセチルコリン分解酵素は、昆虫と人間でもよく似ているため、低濃度でも子どもに影響が、、、EUではほぼ使用されておらず、米国でも規制されています。これが近年有機リン系殺虫剤が登録更新せず失効していっている現状と無関係ではありません。アクテリック乳剤とか…直接的理由は別と思いますがスプラサイド乳剤とか。

一般に残効が短いです。オルトラン(アセフェート)はハダニに効きませんが、加水分解されて微量発生する強毒性のメタミドホスはハダニに効きます。が、当然効能として謳うことは出来ません。
アセフェート自体は哺乳類に低毒性で、かつ比較的害虫が耐性を付けにくい構造をしています。オルトランDXを撒いてもアブラムシが死なないとか聞きますが、どれだけ日頃から撒いていたのか…。ちなみにアセフェートには遺伝毒性はありませんが発がん性はあります。メタミドホスは両方無いようですが、そもそもの毒性が強過ぎる。毎年大葉にオルトランを使用する話がQ&Aに出てきますけど、適用外で使用禁止ですからね。

●トクチオン乳剤 (プロチオホス)
野菜、果樹、茶、花卉類・観葉植物などに発生する多くの鱗翅目害虫(チョウ・ガ)、ハダニ類、アブラムシ類、コナカイガラムシ類、アザミウマ類に幅広い効果を持つ。

殺卵性:×
殺幼・成虫性:○
残効性:○
ボルドー液混用:×
天敵への影響:大
毒性:普通物

【IRACコード2A】環状ジエン有機塩素系

標的生物の抑制性神経伝達物質である GABAによる塩素イオンチャネルの制御を阻害する。その結果,神経興奮抑制作用が阻害され、過剰に興奮した状態になり死ぬ。DDTの近縁で毒性の低いものが流通している。
IRACコード2Aは「ペンタック」、2Bのフィプロニル系は世界的に規制が始まるなか、「プリンス」が生産終了し、カメムシ・アザミウマ向けの「キラップ」だけになっている。

●ペンタック水和剤 (ジエノクロル)
花卉類・観葉植物のハダニ類防除剤。遅効性。

殺卵性:×
殺幼・成虫性:○
残効性:○
ボルドー液混用:×
天敵への影響:大
毒性:普通物

【IRACコード3A】ピレスロイド系(ピレトリン系)

神経軸索で、Naイオンチャンネルの撹乱により刺激の伝達に対する阻害を引き起こすことはほぼ間違いないとされているが、作用機序は完全には解明されていない。神経伝達物質、或いは伝達機構に対する作用も報告がある。

哺乳類に対する急性毒性は低いものが多いが、遅効性の神経毒や環境ホルモンとして作用する物質も含まれるようです。家庭用殺虫剤の9割はピレスロイド系ですので、今更ガタガタ言っても始まりませんからね!とくに最近の、ワンプッシュで30日だとかそんなヤツは高濃度で含有しており、それが部屋の壁面に付着して長時間の害虫追い出し効果(即死ではなく、10分ほどかけて、その間に害虫が明るい方へ出て行って死ぬ)を発揮しています。

ピレスロイド系殺ダニ剤は年3~6回ほど使えることになっているが、残効が長く、多種の害虫を抑制する結果、耐性をつけたハダニがかえって爆増するというリスク(リサージェンス現象)があります。耐性がついていなくとも、ハダニに2週間抑制効果があっても、ほかの害虫が40~60日抑制された結果、戻ってきたハダニが、競合がいないために爆発的に繁殖するという可能性があります。使いどころに注意が必要です。

●ロディー乳剤/ロディーくん煙顆粒(フェンプロパトリン)
かんきつ・茶・野菜の鱗翅目害虫、アブラムシ、ハダニ、カメムシ防除剤。
「ベニカXファインスプレー」「アタックワンAL」「モストップジンRスプレー」等のスプレー剤の殺ダニ・殺虫成分としてフェンプロパトリンは使用されている頻度が高いため、スプレー剤派は使いすぎに注意が必要。また、日常的にスプレー剤に含有されている製品を何度も使われているご家庭ではすでにハダニが耐性を持っており、効果が無いこともあるような気が。

【追記】ロディー(フェンプロパトリン)は使用時の温度の影響を強く受けます。温度が低いほど効果が強く、30度を超えると効果が弱まります。つまり、ハダニは夏に多いが、フェンプロパトリンは夏に弱い。

殺卵性:×
殺幼・成虫性:◎
残効性:○
ボルドー液混用:直前のみ可
天敵への影響:大
毒性:劇物

●テルスターフロアブル/テルスタージェット(ビフェントリン)
果樹・野菜の鱗翅目害虫、アブラムシ類、カメムシ類、ヨコバイ類などのカメムシ目害虫、アザミウマ類に適用あり。バラのハダニなどにも適用があります。

殺卵性:×
殺幼・成虫性:◎
残効性:◎
ボルドー液混用:○(ジェットは不可)
天敵への影響:大
毒性:劇物

●アーデント水和剤(アクリナトリン)
果樹・野菜・茶・菊のハダニ類、カメムシ類、アブラムシ類、シンクイムシ類、アザミウマ類に適用あり。ハダニに有効なピレスロイド系農薬唯一の毒性普通物で、かつリサージェンス現象を起こす傾向がほとんど無いため、私もコレは買っています。

殺卵性:×
殺幼・成虫性:◎
残効性:◎
ボルドー液混用:直前のみ
天敵への影響:大
毒性:普通物

●マブリックジェット/マブリック水和剤20(フルバリネート)
果樹・野菜・茶・畑作物・花卉類の鱗翅目・甲虫目・アブラムシ類・アザミウマ類などに適用。接触毒のみならず、摂食阻害、忌避作用等の特異な作用性ももつ。

殺卵性:×
殺幼・成虫性:○
残効性:×
ボルドー液混用:×
天敵への影響:中(ミツバチには影響なしとの報告もあり)
毒性:劇物


きょうはここまで。次回未定。

「【2024改訂】農薬ローテーション参考⑥」関連カテゴリ

みんなのコメント(2)

こんばんは!

オルトランは撒いてから水やりして溶かしてますよ
家ではアザミウマとアブラムシが殆どでハダニやハバチの発生は少なめですね
バラにハバチが出た瞬間にオルトラン撒くと2~3日で見なくなります
家では5月に1回撒いただけですが害虫の被害が目立たないので追加はまだですね

そういえば昔の職場ではハダニにかける農薬は何種類かローテーションしてましたが、気門封鎖系だけではダメなんでしょうか?
窒息に耐性はできないと思いますが・・・。
農薬に関しては知識皆無なんで言われた通りに撒布してましたけど、ちょっと気になったので!
あ、牛乳で窒そk(((殴

返信する

こんばんは。

気門封鎖系はいくら連用しても耐性は付かないので構いません。ただし、食品添加物や油脂系のなかには、葉焼けを誘発するものがありますので、盛夏はそれなりに選んだ方が良いかも知れません。

気門封鎖系はまんべんなく葉裏を中心に散布する必要があり、散布ムラがあると良い結果を残しません。Q&Aでも、たまに効果が無かった、とおっしゃる方がいますね。

牛乳は臭いのでオススメしませんが、効果はあるようです。

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