≪殺ダニ剤②≫
【IRACコード6】アベルメクチン系/ミルベマイシン系
グルタミン酸作動性塩化物イオン(塩素イオン)チャネル(GluCl) アロステリックモジュレーター・・・うん、なんのことやらさっぱりですわ。
放線菌代謝産物(アバメクチンとミルベマイシン)およびその化学修飾化合物(ミルベメクチン,エマメクチン,レピメクチン,など)…マクロライド系抗生剤群のことを指します。
神経細胞において抑制性神経伝達物質であるグリシンと結合し、塩化物イオンチャネルを不可逆的に開いた状態に保つことにより、細胞内に塩化物イオンが流入。興奮伝達の抑制を起こし、グルタミン酸(興奮性神経伝達物質)とグリシン(抑制性神経伝達物質)のバランス異常を引き起こし殺します。
鱗翅目害虫、コナジラミ、アザミウマなど、ハダニ以外への同時防除も行える便利な薬剤といえます。
●アファーム乳剤 (エマメクチン安息香酸塩)
ハスモンヨトウ、オオタバコガなどの大型鱗翅目に、速効性を発揮します。 コナガ、アザミウマ類、ダニ類、ハモグリバエ類など、複数の害虫を同時に防除します。 収穫前日数が短く、適用作物も60種類以上と幅広く使え非常に便利。
殺卵性:×
殺幼・成虫性:◎
残効性:○
ボルドー液混用:×
天敵への影響:中
毒性:普通物
●コロマイト乳剤/コロマイト水和剤/ミルベノック乳剤(ミルベメクチン)
果樹・花卉類・茶などのハダニ類・サビダニ類・チャノホコリダニなどを広範にカバーするとともに、優れた即効性を有し、ハダニの卵から成虫まで全ステージへ効果を示す。また、ダニ以外でもハモグリバエ類やコナジラミ類の幼虫、マツのセンチュウにも優れた効果を発揮する。
放線菌が生産する天然物から見出された原体であるため、有機JASに適合した農業でも利用可能な薬剤。
良く効くが、スプレー剤「花いとし」の殺虫成分のひとつであり、これがために花いとしは詰め替え用があっても年2回しか使用できない。また、ほかの成分も含有するため有機JAS非適合です。
殺卵性:◎
殺幼・成虫性:◎
残効性:○
ボルドー液混用:○
天敵への影響:中~大
毒性:普通物
●アグメリック乳剤 (アバメクチン)
野菜・果樹・花卉向けのアザミウマ、コナジラミ、ハダニ、ハモグリバエ用殺虫剤。
ミツバチへはガッツリ14日ほど影響がある。
殺卵性:○
殺幼・成虫性:◎
残効性:○
ボルドー液混用:×
天敵への影響:大
毒性:劇物
【IRACコード10A】ヘテロ環化合物チアゾリジン系
作用機序は不明であるが、高い殺卵性・殺幼虫性があり、雨に強く残効性に優れる。成虫への殺虫力は乏しいが、成虫を処理すると生んだ卵が孵らなくなる。
この系統に抵抗性を示すハダニは、【IRACコード15】ベンゾイルフェニル尿素系と交差耐性を示す。
●ニッソラン水和剤 (ヘキシチアゾクス)
果樹・花卉類・野菜の殺ダニ剤。成虫への効果が乏しく、効果が出るまで10日ほどかかる(成虫は寿命で死ぬが、生んだ卵は孵らなくなる効果がある)。硫黄石灰合剤とも混用可能な珍しい薬剤。
殺卵性:◎
殺幼・成虫性:幼虫には◎、成虫には×
残効性:○
ボルドー液混用:○
天敵への影響:なし
毒性:普通物
【IRACコード10B】エトキサゾール
キチン質生成阻害により、ハダニに対する脱皮阻害作用による殺虫活性及び孵化阻止作用による殺卵活性を有する。
●バロックフロアブル(エトキサゾール)
果樹・野菜・樹木・花卉類のハダニ専門薬。モモサビダニに適用があり、モモ栽培必携。遅効性ではあるが、残効が長くハダニの増殖を1か月ほど抑える。成虫には効果が乏しいが、処理された成虫が生んだ卵は孵らなくなる。
殺卵性:◎
殺幼・成虫性:幼虫には◎、成虫には×
残効性:◎
ボルドー液混用:×
天敵への影響:なし
毒性:普通物
【IRACコード12C】亜硫酸エステル系
ダニの幼虫や若虫に極めて強い殺虫作用 (食毒・接触毒)を示し、散布 ~4日後に死亡する (遅効性)。 卵期に散布しても孵化後の幼虫に対して効果を発揮する。
●オマイト水和剤/オマイト乳剤(プロパルギット(BPPS))
果樹用ハダニ・サビダニ殺虫剤。ぶどうのうどん粉病にも適用がある。高温時薬害をはじめ、いろいろと条件があるので計画的に使用する必要がある。殺卵性は無いが、処理された卵は孵化後、幼虫の段階で死ぬ。
殺卵性:×
殺幼・成虫性:幼虫には◎、成虫には×
残効性:◎
ボルドー液混用:×
天敵への影響:なし
毒性:普通物
【IRACコード12D】テトラジホン
ミトコンドリアATP合成酵素阻害剤。ごく最近までテデオン(テトラジホン)という製品がありましたが、製造終了しました。天敵に影響が無く、花卉類・果樹・樹木類に適用のある、雌ダニの卵巣に作用して無精卵化する遅効性の殺ダニ剤でした。
きょうはここまで。次回未定。
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殺ダニ剤に関する詳細レポートありがとうございます
返信する以前に「農ライフログ」というサイトでベニカXと花いとしを比較していて、花いとしについて
【殺虫成分と殺菌成分が含まれている他、殺ダニ成分も入っているので、花や観葉植物で使用するには重宝しそうですね。
ベニカシリーズの類似品としては「ベニカXスプレー」が該当しますが、「花いとし」には殺ダニ成分も入っているので、1回の使用でより多くの害虫を退治できます】
というのを読んでいたのですが、鉢植え100%さんが赤字で注意喚起してくださったところを読んで、なるほどそういうことかと腑に落ちました
いつもありがとうございます
含有薬剤による製品ローテーションと使用回数、必要性を心して作業します
おはようございます。
「ベニカXファイン」ならフェンプロパトリンというピレスロイド系殺ダニ剤が、「ベニカXネクスト」ならデンプン…気門封鎖系殺ダニ剤が入っています。無印には仰るとおり殺ダニ成分は皆無ですね。
しかし、ベニカXシリーズはそれぞれで殺菌成分が異なるため、無印でも病気予防の観点からなら、役に立たないと言うことはありません。
コロマイト(ミルベメクチン)は強力なので、普段は使用せず、他の殺ダニ剤の効果が薄いときの「とっておき」にされているという方が数年前にいらっしゃいました。スプレー剤にされて濫用されると、少なくとも「とっておき」と言えるほどの効果は無くなっていきそうですね。
「植物つよし」等の濫用はやがて「虫つよし」に、、、ということを周知したいですね(-_-;)
返信するあれは撒くヤツもスプレー剤も、ネオニコチノイドの赤丸急上昇中のジノテフランですね。ハイポネックスの殺虫剤入り液肥と同成分です。
粒剤は無印オルトラン粒剤と交互に撒くとか良いと思いますけどね。少しでも連用が避けられる。オルトランDXはネオニコも有機リンも両方含んでいるので、これを連用して耐性アブラムシとか作った日には面倒くさいで。気門封鎖系でいけますけどね。
こんばんは♪
返信する最近バラを手にしてから、
薬剤の勉強がおおくて。。
これまでは、塊根、多肉系ばかりで、
病気なんて縁遠かったので。。
秋以降か、冬季の植え替え時には、
ベニカ粒状まいて、スプレー系はあまり使わないように
しようかなと思ってますが、どうなるのかな。。
(葉裏への葉水でしのげればいいな、と)
雨が当たらないベランダなので、黒星病より
ハダニなんですよね。
こんばんは。
どうせベニカXガード粒剤ではハダニを駆除することは一切出来ませんので、チュウレンジやアブラムシの来る…ベランダでも高ければ来ないかもですが…4~5月に1回、あとは秋にチュウレンジが来るようならもう1回。その程度にしておきましょう。
もうね、Q&Aを見ていると、植え付け時に入れて、毎月撒いて…挙げ句の果てに粒剤がまったく効かないアブラムシを大量生産されておられる方が複数おります。苦労するだけで何も良いことは無いので、農薬代もかかりますし、年2回くらいなら耐性が付くことはないでしょう。
ハダニは。ハダニは日頃から気門封鎖系を使用していれば、問題になることは少ないはず。残念ながら、いま連載しているハダニ用農薬は詳しく書きすぎて、たぶんまったくの素人お断りになっているでしょうね…。
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