鉢植え100%さんの園芸日記

【2024改訂】農薬ローテーション参考⑧

2024/07/03
【2024改訂】農薬ローテーション参考⑧ 拡大 写真1

≪殺ダニ剤③≫

【IRACコード13】クロルフェナピル

アメリカンサイアナミッド社(現BASF)が開発した殺虫剤で、ピロール系の構造を持ち、果樹・野菜のコナガやハダニの呼吸系を阻害し殺虫効果を現す。

●コテツフロアブル (クロルフェナピル)
野菜・果樹・食用花卉類の、コナガ等鱗翅目害虫含む、ミナミキイロアザミウマ・ナミハダニ・カンザワハダニなどの、難防除害虫に対して高い防除効果を示す。新規化合物のため、既存薬剤との交差抵抗性を示さない。
ハダニの天敵であるカブリダニに対する影響が少ないが、ミツバチには10日は影響があり、哺乳類や魚類にも強い毒性を示す。

殺卵性:◎
殺幼・成虫性:◎
残効性:△
ボルドー液混用:×
天敵への影響:大
毒性:劇物

【IRACコード15】ベンゾイルフェニル尿素系

昆虫の表皮の主成分であるキチン合成酵素の阻害により、脱皮を阻害し、成長不良で殺虫する。
これに抵抗性を示すハダニは、【IRACコード10A】ニッソラン水和剤 (ヘキシチアゾクス)にも交差抵抗性を示す。

●カスケード乳剤(フルフェノクスロン)
昆虫の外骨格を形成するキチン質の合成を阻害し、幼虫の脱皮時にその致死効果が発揮される殺虫剤(IGR剤)です。適用作物が多く、100以上の幅広い作物に使用可能で、チョウ目、カメムシ目、ハエ目、アザミウマ目、ダニ目に活性を示し、他のIGR剤にはない幅広い殺虫スペクトラムを持つ。

殺卵性:○
殺幼・成虫性:○
残効性:○
ボルドー液混用:×
天敵への影響:小
毒性:普通物

【IRACコード19】オクトパミン受容体アゴニスト

昆虫の神経系の神経調節,神経伝達,および神経ホルモンとして作用。受容体アゴニストであるアミトラズが作用すると、後膜の受容体と結合して細胞質内のカルシウムチャンネルの活性化などにより、摂食や交尾などの異常が発生して致死。
「ダニカット乳剤20」が近年まであったが、製造終了していた。古くから使われすぎてナミハダニには完全に効力を失っていた上、収穫前使用期間が長く、使い勝手はイマイチだった。まだ所有していたが、捨てよう。

【IRACコード20】ミトコンドリア電子伝達系複合体Ⅲ阻害剤

ミトコンドリアの電子伝達系における酵素複合体Ⅲの阻害剤。エネルギー代謝に影響を与え殺虫する。

●【IRACコード20B】カネマイトフロアブル (アセキノシル)
キノリン系殺ダニ剤。花卉類(ばらをのぞく)・果樹・野菜の殺ダニ剤。チャノホコリダニなどにも適用がある。ばらには薬害。
だいたい年1回しか使えないが、100mlでしかも比較的安価なので使い勝手もまずまず。

殺卵性:◎
殺幼・成虫性:◎
残効性:○
ボルドー液混用:×
天敵への影響:なし
毒性:普通物

●【IRACコード20D】マイトコーネフロアブル (ビフェナゼート)
ハダニ・サビダニに選択的に殺虫効果を示す薬剤。野菜や果樹、一部花卉に適用あり。作用機序は明らかになっていないが、端的な結果としてはミトコンドリアの電子伝達系における酵素複合体Ⅲを阻害する効果が認められている。

殺卵性:○
殺幼・成虫性:◎
残効性:○
ボルドー液混用:×
天敵への影響:なし
毒性:普通物

【IRACコード21】ミトコンドリア電子伝達系複合体I阻害剤(METI)

ハダニ類,サビダニ類,ホコリダニ類に高い活性を有し、卵から成虫までのすべてのステージに有効で、速効的。残効も長く、ハダニの密度を長期間にわたって強く抑制し、極めて高い防除効果を示す。
また、これらMETI剤は,殺ダニ活性に加えて,殺虫活性を有することも特徴。

●【IRACコード21A】ピラニカEW/ピラニカ水和剤 (テブフェンピラド)
野菜や花卉類、茶のハダニ、アブラムシ、サビダニ、チャノホコリダニ等に、気温に関係なく安定した効果を発揮する。さつきとばらの新葉には薬害。散布時かぶれに注意。

殺卵性:◎
殺幼・成虫性:◎
残効性:◎
ボルドー液混用:○
天敵への影響:大
毒性:劇物

●【IRACコード21A】サンマイト水和剤/サンマイトフロアブル (ピリダベン)
ハダニやチャノナガサビダニ、チャノホコリダニ、従来の薬の効きにくいタバココナジラミ「バイオタイプQ」にも効果がある。野菜と茶の殺ダニ剤。うどん粉病にも一部適用あり。
ミツバチへの影響は3日ほど。

殺卵性:○
殺幼・成虫性:◎
残効性:◎
ボルドー液混用:○
天敵への影響:中~大
毒性:劇物

●【IRACコード21A】ダニトロンフロアブル(フェンピロキシメート)
フェンピロキシメート系殺ダニ剤。果樹・花卉類・野菜のハダニ、サビダニ、ホコリダニに効く。殺卵性は弱いが、処理された卵はふ化後に死ぬことが多い。温度の影響を受けやすく、低温では効果が弱く、30度を超えるとハダニへの活性が増す。
ばらの新葉および、花卉類の花や蕾には薬害のおそれ。散布時かぶれに注意。
FMVを媒介するイチジクモンサビダニに唯一登録がある(2023年現在)薬剤なので、あやしい輸入穂木を挿している同胞ら必携。FMVは気にしない方はいても、広めたくはないでしょう?
カイガラムシ幼虫向け殺虫剤「アプロード」との合剤「アプロードエース」、「ダニコング」との合剤「ダブルフェースフロアブル」がある。

殺卵性:△
殺幼・成虫性:◎
残効性:◎
ボルドー液混用:○
天敵への影響:小
毒性:普通物


きょうはここまで。次回未定。

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