ぷしすさんの園芸日記

続 そういう品種

2024/07/27
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この国では、藤は棚に仕立てられるよりも、壁に這わせるほうが一般的のようだ。家の外壁に咲く藤をよく見かける。

家の壁に誘引されている場合、新枝をさっさと切らないと窓が枝でおおわれてしまったり、軒や屋根瓦の間に枝が入り込んだりと不具合が発生するし、ボッサボサの藤を放置しておくのはなんと言っても見た目が悪い。住人から要請される前にさっさと始末するに限る。

夏の剪定は、葉が茂っていて既存の枝がよく見えないので、梯子をかける場所を探すのがちょっと大変。うっかりすると枝を折ってしまうし、なかなかやっかいな仕事である。やる気がそがれないうちに取り掛かることにする。

この家は1690年に表玄関のある正面部分が建築され、その後増築されてコの字型の建物になっている。
藤は南面の壁、角に植えられていて、私が手入れを始めた7年前、東面と南面の壁に4~5m程の枝が2本ずつ伸びている程度だった。この藤がとても好きだということと、南面にある排水管を隠したいという話を聞いたので、できるだけ壁を覆うことにした。
そもそも、私、誘引好きだし。
そして今や、藤は西面の正面玄関まで達するほどになった。
がんばった、私!と思うのは春先だけで、高所恐怖症ゆえ剪定時は、頑張りすぎた、自分といつも後悔する。

藤ってきちんと整列、誘引されているより、枝がクネクネ曲がって個性的な形をしているほうが、藤らしくて味がある。
これは、お行儀が良すぎてイマイチだなぁと思うけど、仕方がない。クネクネ誘引する術は持ち合わせていない。
この家、保護指定建造物になっているはずなので、この先もずっと存在していくに違いない。家と共に私が誘引した藤の枝も50年後、100年後、残っているといいなと思う。

さて、この藤、他の藤より開花が少々早め。葉が出るより前に花が咲く。近所のおばさんたちは私に、花だけが先に咲くように剪定しているんでしょ、と聞いてくる。いや、普通の剪定をしているだけだ。早咲きの品種っていうだけ、と応える。
庭師だからってそんな魔術のようなことはできない。
何年も修行をする日本の庭師とは違い、この国の庭師なんて誰でもなれるし。基本的に単なる庭の掃除屋だ。

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