次は、F2の遺伝型と表現型です。
前の日記で書いたようにA~D(or C',D')までの4種のうち、出てくるF2の遺伝子変異の組み合わせは、Aに含まれることになります。
そのため、Aだけ考えればよいということになります。
ヘテロ接合の変異遺伝子の数は全部で11あります。
例えば、A/+という遺伝型のF1が自家受粉によって生じるF2の遺伝型は
A/A, A/+, +/A, +/+
の4タイプ。
A/+と+/Aは実質同じなので、型としては3タイプが生まれます。
それが11個あるので、
3^11(3の11乗)の組み合わせ、すなわち
3^11=177,147
となります。
膨大な数です。
しかし、表現型(見た目)はそこまで多くはありません。
11個すべての遺伝子がホモ接合になった場合が最大で、残りの花器官にかかわる遺伝子を一つずつ落としていくと
<花器官>
(1) 乱菊石畳獅子咲牡丹 py/py cs/cs fe/fe dp/dp
(2) 乱菊石畳獅子咲 py/py cs/cs fe/fe
(3) 乱菊石畳咲牡丹 py/py cs/cs dp/dp
(4) 乱菊獅子咲牡丹 py/py fe/fe dp/dp
(5) 乱菊石畳咲 py/py cs/cs
(6) 乱菊獅子咲 py/py fe/ve
(7) 乱菊咲牡丹 py/py dp/dp
(8) 乱菊咲 py/py
(9)~(16):(1)~(8)の多曜(乱菊)で無いもの
<花色>
濃紅 mg/mg pr/pr int/int
紅 mg/mg pr/pr
濃紅紫 mg/mg int/int
紅紫 mg/mg
濃紫 pr/pr int/int
紫 pr/pr
紺 int/int
青 +/+
の8種の色が出現すると考えられます。
そして、上記で覆輪がないもの。
さらに、それぞれ、筒が底白とそうでないもの
に分かれます。
これを知らずに、F2を育てていると、いろんな色が出てきますので、パニックになりそうですが、こうして最初に予想しておけば、それほど驚くことではありません。
<葉>
葉型は、花器官と連動しますので組み合わせは増えませんが
抱乱菊獅子葉(仮) fe/fe cm1/cm1 py/py
※掬水爪龍がさらに変化するはず
抱乱菊葉 cm1/cm1 py/py
乱菊獅子葉 fe/fe/ py/py
掬水爪龍 cm1/cm1 fe/fe
抱 cm1/cm1
乱菊葉 py/py
獅子葉 fe/fe
並葉 +/+
等が考えられます。
さらに、葉色は黄と青に分かれます。
各遺伝子のヘテロ接合の影響は今のところ無視していますが、特定の遺伝子との組み合わせによっては、異なる表現型が出ることもあると考えられます。
cm1は他の遺伝子変異の表現型を強めるエフェクターなので注意が必要かもしれません。
このように、表現型は遺伝型ほどは多様ではありませんが、ざっと数えて、少なくとも8192種の組み合わせの表現型があります。
獅子や牡丹は不稔ですから、F2で出てきたとしても、F3は生まれません。
しかし、獅子や牡丹でないF2の中には獅子や牡丹をヘテロ接合で隠し持っているものが含まれますので、F3になると、また不稔の牡丹や獅子が出てくると予想されます。
それらは、F2の組み合わせの範囲内なのですが、安定した形質を持つ株を取る、すなわち正木にするには、すべての変異遺伝子がホモ接合になる必要があります。
不稔遺伝子以外の9種類を固定化(ホモ接合化)するのは相当の時間(世代)と選別を要することは想像に難くありませんし、実際、相当の数をこなしても、いつまでたっても固定されずにばらばらと様々な表現型の株が生まれ続けます。
ここで、重要なことは各表現型または遺伝型に伴う稔性です。
そもそも、572乱菊石畳は稔性の低い株です。
そうなると、乱菊石畳 py/py cs/csを持つ株は維持できない可能性があります。
稔性が無いわけではないけれども、稔性が低いことによって、現実問題として種を得ることができずに、所望の表現型を持つ株が得られないことは十分に予想されます。
442と572の組み合わせによる交配の結果については、ほぼ予測ができたように思います。
また少し寝かせてみて、見落としが無いか、チェックしていきます。
会員登録をすると、園芸日記、そだレポ、アルバム、コミュニティ、マイページなどのサービスを無料でご利用いただくことができます。
ウラジロギボウシ 2024/09/13 | タイタンビカス... 2024/09/13 | 暑くても頑張っ... 2024/09/13 |
蚊のいないうちに 2024/09/13 | ちゃんと、離れ... 2024/09/13 | 気温が 2024/09/13 |
※コメントの書き込みには会員登録が必要です。