1.植え替えを開始する
鉢は最低でも9号以上。写真のは12号(内径11号程度)、用土14Lのプラスチック鉢だ。用土は腐植質を多分に含む、水持ち・水はけの良い弱酸性用土、ここでは手を抜いてハイポネックスバラ培養土を用いる。
なお、すべて2020年11月28日で、ひとまず5鉢同時に植え替えるので、写真はまちまちな品種になる。また、積雪が無い限り、地上部が青ければ出来るだけ年内引っ張ってそのまま栽培するのが吉。写真は華燭の典。
2.鉢からそっと抜きます
芍薬は来年の芽が10月頃にはできはじめ、11月には出来ています。鉢を逆さまにして抜くような真似をすると芽を傷めますので、枝が残っているようなら、鉢を横にして引っ張って。枝が残っていなければ、横にして鉢周りを叩いて抜きます。
バラや芍薬は肥料分が残土にたっぷり残っているため、私の場合寒肥代わりに庭に撒くので、下に何か敷いて用土を回収します。写真はプリンセスマーガレット。
3.土をおおまかに落とします
太い根は出来るだけ傷つけないように。ちなみにどうしても邪魔で鉢に入らないなんて場合は、最大で半分くらいまで切り詰めることも出来ますが、癒合剤や殺菌剤を忘れずに。株分けも同じです。また、その場合翌年の花はあきらめることになるかも。
芽の付いていない根は発芽しないのでゴミです。漢方薬になるのは有効成分含有量の多い専用品種のみなので…。
写真はモンシェリージュレスエリー。
4.枝を切り捨てます
緑であれば私の場合、植え替え時に折れたりしなければ残しますが、基本的には切り捨てます。枯れたり黄色くなった枝葉は不要です。少なくとも来春までには切除しておかないと、翌年の発芽の邪魔になりますので、植え替えが不要であっても、枯れ枝の根元からの切除は必要な作業です。
また、芍薬は寒さに強いですが、新芽は霜に当たると痛むことがありますので、新芽が地表に出ていたら、覆土します。
写真はエデンズパフューム。
5.鉢底に、ゴロ土などを入れます
私は鉢底がナメクジの巣になるのを避けるため、木炭を敷きますが、ゴロ土や鹿沼土中粒などで良いでしょう。5年は植え替えないことを考えると、湿気て崩れやすい赤玉土をゴロ土として入れるのはお奨め出来ません。
鉢底「石」でも良いですが、用土をケチるために入れるのはやめましょう。なるべくたっぷりの土が芍薬には必要です。
6.元肥や堆肥を入れます
ゴロ土や木炭の上から、完全に隠れる程度に、しかし浅く用土(今回はハイポネックスバラ培養土)を入れ、たっぷり2握り粒状堆肥(写真のものは「カンポウランド」「ツムランド」という生薬かす100%の完熟粒状堆肥)を入れ、魚粉や油かすといった有機肥料も一握り入れます。さらに、マグァンプK大粒を軽く一握り入れ、今回は余っていたミリオン…ソフトシリカを入れました。前回はくん炭を入れましたが、今切らしています。
7.株を植え戻します
⑥の上に浅く用土を敷き、芍薬が自重で根を折らないように支えながら、用土を株の周囲に注いでいきます。根に触れても大丈夫な完熟堆肥あるいはぼかし肥あたりをお持ちでしたら、真ん中あたりで用土を注ぐのを一度止め、ひと握り~ふた握りほど株の周囲に注ぎます。そして、だいたい芽が隠れるくらいまで用土を注ぎ、地表に有機肥料を軽くひと握り撒きます。写真のはプロトリーフ バラの肥料です。
8.マルチングを行います
⑦の補足ですが、植え替えをしない場合でも、10~11月には堆肥ふた握りと有機肥料ひと握りは地表に撒きます。肥料も大切ですが、芍薬はとくに腐植…有機質を好みます。
そして、霜よけや保温も兼ねて、バーク堆肥や腐葉土あたりで地表を覆い、新芽を完全に隠すと同時に、ナメクジやゴキブリが有機肥料や堆肥にたかるのを予防します。
これで来年も美しい花で楽しませて貰えるでしょう。
9.おしまい。
2~3芽付きの場合、翌年は花を諦めた方が良いでしょう。5芽大株の場合はおまかせします。
ある程度乾燥にも強いですが、春芽吹き後~晩夏までは水切れを起こさないよう注意します。とはいえ、大鉢であれば盛夏でも週2くらいたっぷりやるだけでいけると思います。秋は週1で。
ウチはなったことが無いのですが、うどん粉が来やすいようです。フルピカあたりも揃え、農薬ローテーションをしましょう。
鉢よりは地植え推奨。
10.そういえば
いま10鉢強植え替えたけど、腐植たっぷりだけど、コガネムシの卵を産んだとおもわれる後の死骸まであったけれど、1匹もコガネがいない。夏以降農薬の粒剤は撒いていないし、あれかな、薬になる=毒だから、コガネが死ぬのかな???
しまった、固形亜リン酸肥料入れ忘れた。まぁ、成長期じゃないからいいや。
芍薬は宿根草です。「植えた」「咲いた」で終わりでは無いのです。これからも花を楽しむために、数年に1度しか必要の無い植え替え作業を、あえてそだレポしてみたいと思います。
でも、苗を買ってきて植えるときや、10月11月の年越し前にはやっておくとよい作業も混じってはいますよ。