トピック&ニュースグリーンライフに役立つ最新トピック&ニュースをお届け!

観葉植物の達人に聞く。これだけはおさえておきたい栽培のポイント【趣味の園芸7月号こぼれ話・後編】

観葉植物の達人に聞く。これだけはおさえておきたい栽培のポイント【趣味の園芸7月号こぼれ話・後編】

インテリアグリーンとしても人気の観葉植物。でもいつの間にか大きくなりすぎたり、全体的にボサボサに。またはひょろひょろしてしまったり、葉色が悪くなったりとお悩みはつきものです。「ステキだと思ったから購入したのに」という、あの頃の姿に戻すためのノウハウについて、『趣味の園芸』2024年7月号の「実践! 観葉レスキュー」で、熱帯植物・観葉植物の専門家、尾崎 忠さんに教えていただきました。

熱帯植物に特化した育種&生産を行うナーセリーの2代目である尾崎さん。ウェブだけで読める「こぼれ話」前編では、生産現場で感じることや、初心者の方にもおすすめの植物などについて、お話を伺いました。

後編では、注意しておきたい栽培のポイントと、「ここの温室の観葉植物はスゴイ!」という尾崎さんおすすめの植物園温室を教えていただきました!


――はじめての栽培で、注意しておくことはありますか?

 

尾崎さん 中型~大型の観葉植物を購入した場合ですが、株の調子が悪いと感じたら面倒でもすぐに植え替えをおすすめします。輸送上ある意味仕方がない部分もあるのですが、株が動かないよう押さえるため、鉢の中に発泡スチロールが入っているケースが多くあります。これでは根が正常に育つことはできません。同じ鉢でよいので、いったん株を取り出し、観葉植物用培養土などで植え替えをしましょう。インテリアグリーンとして、店頭でおしゃれな鉢に入って販売されていることが多く、気づきにくいことなので注意しましょう。

 

202407kobore2_02.jpg

購入後は土を入れ替えるのがおすすめ。ただし植え替えるのは、調子が悪いと感じてからでもよい。まだ根が十分張っていない場合は、植え替えるのが危険な場合もある。(撮影/田中雅也 撮影協力/エクゾティックプランツ)

 

尾崎さん また、観葉植物で失敗しがちなのが水やりと冬越しです。水やりは以外かもですが、「乾かしすぎ」という方が多いように思います。鉢の土が完全に乾いたら、底穴から水が出るまでたっぷり、とメリハリがあるのが基本です。室内管理だと、どうしても床が水で濡れるなどを避けるため、水を与えた気になり乾燥しすぎを招いてしまうのかもです。鉢皿の四隅にホームセンターで売っているようなゴムパッキンなどをかませるなど、鉢皿と鉢の間に少し空間を設けることで、鉢皿からの水あふれを防ぐことができます。葉水も効果的です。庭やベランダに移動して週に1回シャワー状の水をたっぷりかけてあげましょう。

 

202407kobore2_03.jpg

葉水にはハダニやほこりを落とす効果あり!(撮影/田中雅也 撮影協力/エクゾティックプランツ)

 

尾崎さん なお、耐寒性が低い品種が多い観葉植物ですが、冬も「室内ならば大丈夫!」というのは危険な思い込みです。パキラやフィカスなど、明るい場所を好む品種は、日当たりが悪いと徒長しがちに。明るい窓辺で管理する必要があります。ほかにドラセナ(種類による)、サンセベリア(光が足りないと葉が細くなる)なども、もともとは光が好きな植物だけれど、半日陰でも葉を落とさないので観葉植物扱いとなったものは、徒長しやすいです。

 

202407kobore2_05.jpg

フィカス。明るい場所を好む品種は、日が当たる窓辺で管理しよう。(撮影/竹田正道)

 

――尾崎さんが観葉植物を育てていて、うしれかったことはなんですか?

 

尾崎さん 海外で見つけてきた植物が人気になったことですね。その1つはアブチロンです。これを親株にしていろいろ交配した植物も評価が高かったのもうれしくなりました。またアブチロン:ドワーフレッドを片親に、姫りんご、初恋、ひこ星、ピンクカメレオンなどを作出しました。あと、小さな植物園の温室を設計から施工まで手がけさせて貰ったのはよい経験になりました。

 

――ここの温室はスゴイ!という植物園を教えてください。

 

尾崎さん 全国すべてを見てきたわけではないけれど、沖縄の国営沖縄記念公園(海洋公園)熱帯・亜熱都市緑化植物園、大阪の「咲くやこの花館」、京都の「京都府立植物園」、茨城の「国立科学博物館筑波実験植物園」の温室は、すばらしいと思いますよ。生息地に近い環境で育つとこんなに立派に大きくなるんだと、きっと思うはず! さまざまな植物園が温室には力を入れています。観葉植物の本来の姿を見られる、よい機会だと思いますよ。

 

202407kobore2_06.jpg

咲くやこの花館の温室(写真提供/咲くやこの花館)

 

▼前編から読む

 

202407kobore1_pro.jpg

尾崎 忠(おざき・ただし)

千葉県で熱帯植物専門のナーセリーを営み、数多くの熱帯・亜熱帯植物を生産、管理、販売している。たびたび海外にも足を運び、厳選した現地の植物を取り扱う。珍しい種類も多い。日本各地の植物園にも多数納入。

(撮影/田中雅也 撮影協力/エクゾティックプランツ)

 

『趣味の園芸』2024年7月号

 

202407e_01.jpg

『趣味の園芸』2024年7月号

観葉植物と仲よく暮らすための大特集! ずっと美しく育てていくためのノウハウやレスキュー法、サイズ別おすすめ品種や、お手本となる暮らし方も紹介。夏の環境が変わりつつある今、秋に花を楽しむアサガオとヒマワリの新提案、「猛暑に勝つ」「グリーンサム」では真夏の園芸アドバイスをお伝えします。年々人気が高まっている南半球プランツの栽培のコツも。

NHK出版で購入する | Amazonで購入する

定期購読のお申込み(NHK出版)

 

●ウェブだけで読める! 趣味の園芸テキストこぼれ話

engeikobore_sp.jpg

『趣味の園芸』編集部によるテキストこぼれ話。最新号の特集や記事に関連して、誌面で紹介しきれなかった情報をウェブ限定でお届けします。

 

会員登録がお済みの方は

会員登録をすると、園芸日記、そだレポ、アルバム、コミュニティ、マイページなどのサービスを無料でご利用いただくことができます。

ピックアップ
定期購読
投稿募集中 from テキスト編集部
見て見て!お気に入りの花

見て見て!お気に入りの花
自慢の植物・庭の写真を募集中!

みんなのマルシェ

みんなのマルシェ
自慢の畑・野菜の写真を募集中!