観葉植物の達人に聞く。初心者でも育てやすい種類、栽培前に確認しておきたいこと【趣味の園芸7月号こぼれ話・前編】
インテリアグリーンとしても人気の観葉植物。でもいつの間にか大きくなりすぎたり、全体的にボサボサに。またはひょろひょろしてしまったり、葉色が悪くなったりとお悩みはつきものです。「ステキだと思ったから購入したのに」という、あの頃の姿に戻すためのノウハウについて、『趣味の園芸』2024年7月号「実践! 観葉レスキュー」で、熱帯植物・観葉植物の専門家、尾崎 忠さんに教えていただきました。
熱帯植物に特化した育種&生産を行うナーセリーの2代目である尾崎さん。ウェブだけで読める「こぼれ話」では、生産現場で感じること、初心者の方におすすめ植物など、さらにお話を伺いました。
(撮影/田中雅也 撮影協力/エクゾティックプランツ)
尾崎さんが営むエクゾティックプランツの園内で。「こんな風になっちゃうとかわいくなくなるよね」と、どうしたら購入時のステキな観葉植物の姿に戻せるかを教えてくれた尾崎さん。ナーセリーでは、人気の高いものから希少なものまで、さまざまな熱帯植物、観葉植物を扱っている。
――創業34年を迎える尾崎さんのナーセリー。そもそもなんで「エキゾチック」じゃなく「エクゾティック」なのか、素朴な疑問なのですが。
尾崎さん 先代がつけたんですよ。当時、より英語読みに近い方がいいんじゃないかって。もともと両親ともに東京出身だったんですが、南房パラダイス(千葉県・館山市。現在の名称はアロハガーデンたてやま)に勤めていて、独立。ちょうど都市緑化植物園が増えた時代で、当初は植物園に納める植物が多かったんです。外で見られる植物ではなく、温室でしか見られない植物は、植物園の醍醐味でもありますよね。
――観葉植物における隆盛みたいなものはありますか?
尾崎さん 「葉物」という印象が強いのか、一度枯らしてしまうと再び挑戦するのにハードルがあがるのか、ここ30年、特出した動きというのは特になかったですね。ただし、コロナ禍でどこにも出かけられない方々が興味を持ってくれたのか、ありがたいことにネットなどでとても人気に。斑入りでも希少性の高い植物に注目が集まりました。今は前に戻ったといったところでしょうか。
ちみなに地域的なことですが、私の農園のある千葉は台風被害がすごかった!! 2019年の台風15号の強風で温室が潰れてしまって。停電していたし、被災地になってしまい、多くの観葉植物を捨てざるを得なかったんです。もともと館山は過去もコースによっては台風が直撃することはあったんですが、2019年は過去最大級でした。
――初心者におすすめの観葉植物は?
尾崎さん 比較的丈夫で難しくないのは、シェフレラとかモンステラですかね。斑入りはやっぱり人気だと思いますよ。
左はシェフレラ、右はモンステラ(撮影/田中雅也)
――はじめての観葉植物を迎えるにあたって、アドバイスはありますか?
尾崎さん 入手したら、管理や作業の前に、次の2つのことをしておくとよいと思います。まず、本来はどんなところで育っている植物かを知ること。これによって光が好きなのか半日陰がよいのか、湿った環境が好きなのか乾燥がよいのかなど、おのずとわかるかと思います。次に植物名をきちんと知ることが重要!
それがわかれば、今はネットなどでもいろいろと調べられますから。学名までわかっていれば、世界の情報を得られることができるんです。忘れずにラベルはしっかりと保管しておきましょう!
後編では、これだけは心がけてほしい観葉植物栽培のポイントや、尾崎さんおすすめの植物園温室などを紹介します!<6月28日公開予定>
尾崎 忠(おざき・ただし)
千葉県で熱帯植物専門のナーセリーを営み、数多くの熱帯・亜熱帯植物を生産、管理、販売している。たびたび海外にも足を運び、厳選した現地の植物を取り扱う。珍しい種類も多い。日本各地の植物園にも多数納入。
(撮影/田中雅也 撮影協力/エクゾティックプランツ)
『趣味の園芸』2024年7月号
観葉植物と仲よく暮らすための大特集! ずっと美しく育てていくためのノウハウやレスキュー法、サイズ別おすすめ品種や、お手本となる暮らし方も紹介。夏の環境が変わりつつある今、秋に花を楽しむアサガオとヒマワリの新提案、「猛暑に勝つ」「グリーンサム」では真夏の園芸アドバイスをお伝えします。年々人気が高まっている南半球プランツの栽培のコツも。
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