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いま来てます、ユーフォルビア『12か月栽培ナビNEO 多肉植物 ユーフォルビア』発売記念・靍岡秀明さんインタビュー

いま来てます、ユーフォルビア『12か月栽培ナビNEO 多肉植物 ユーフォルビア』発売記念・靍岡秀明さんインタビュー
(撮影/田中雅也)

変幻自在なビジュアルに魅せられて、ユーフォルビア沼にハマる人が急増中です。『NHK趣味の園芸 12か月栽培ナビNEO 多肉植物 ユーフォルビア』の発売を記念して、著者の靍岡秀明さんにインタビュー。人気急上昇中の多肉植物・ユーフォルビアのおもしろさや、本書への思いについて伺いました。

 

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お待ちかねの「ユーフォルビア本」でました! いま最も信頼できる多肉植物栽培家の一人、靍岡秀明氏が品種や育て方を徹底解説。『NHK趣味の園芸 12か月栽培ナビNEO 多肉植物 ユーフォルビア』2024年7月18日発売(NHK出版)

 

収まりきらないおもしろさ

 

「ユーフォルビア、おもしろいよね」 

最近、そんな会話がよく交わされるようになりました。ユーフォルビアの個性的な姿に魅せられ、集める方がふえ、展示会や即売会で並ぶ多肉植物のなかでも、ぐんと存在感を増してきました。 

少し前まで、多肉植物ファンの間でユーフォルビアといえば、サボテンに似たちょっと変わった植物というイメージ。たしかにサボテンを思わせるような球形や柱形の種類や、とげが目立つものもあります。なんとなくサボテンのサブ的な位置づけでした。 

じつは、そんなイメージに収まりきらないほどの超個性派ぞろいで、クセの強い種類がたくさんある──。そのことに気づいた人たちが、本格的にユーフォルビアを育て始めたということでしょう。 

枝がうねるように伸びる「タコものタイプ」、次々と枝が分かれて独特の樹形をつくる「低木タイプ」。茎や根がふくらんだ「コーデックスタイプ」もあって、その世界ではすでにパキポディウムやアデニウムに並ぶ人気者です。なんといっても、この多様さこそがユーフォルビアの魅力ですね。

 

御三家はオベサ、ホリダ、バリダ

 

なかでも人気の筆頭はオベサ、ホリダ、バリダの3種。それぞれにファンがふえて、熱気を帯びてきました。 

なぜハマるのかというと、この3種それぞれに変異が多く、個体差も大きく、その株ならではの独特の顔つきがあるからです。ひとたび種類を集め始めると、たちまち沼にハマってしまいます。 

多肉植物のユーフォルビアは、アフリカ、熱帯アジアなどに分布していますが、特徴的な種類が多いのは南アフリカ。オベサ、ホリダ、バリダの故郷も南アフリカです。 

実際に原生地を訪ねてみると、乾燥した高原地帯に太陽が照りつけ、強い風が吹き抜ける場所。雨季はありますが、土壌は砂や小石で、雨水はすぐに乾いてしまうでしょう。昼は高温になっても、夜は気温の下がる高原の気候。湿度も低く、高温多湿の日本の夏とは大きく異なります。

 

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これが人気御三家! 左からオベサ、ホリダ、バリダ(撮影/田中雅也)

 

生育タイプは春秋型で考えよう

 

この植物たちを日本で育てるにはどうすればいいんだろう。いつもそれを考えています。ユーフォルビアの生育型は夏型と一括りにされていた時期が長く、そのつもりで夏型のサボテンやパキポディウムなどと同じように育てると、弱ったり、傷んだり......。わたしも大切な種類をずいぶんダメにしてしまいました。 

3月早くから成長を始め、夏は生育緩慢になったあと、また9月から本気を出して11月まで成長。この間、葉を出したり、花が咲いたりと変化していく姿が楽しめます。サボテンと比べると、低い温度帯を好んで成長することがわかります。

特に近年、夏は猛暑続き。夏型ではなく、春秋型と考えて栽培するほうが失敗が少ないようです。種類によっては夏型もありますが、それはもう一つの重要な原生地であるマダガスカルの種類や、より熱帯に近い地域原産の種類の一部に限られそうです。 

 

日本初の品種の今後にも要注目!

 

つい先日も訪ねてきた若い愛好家とユーフォルビアの話になりました。彼は「これほど人気が出てるんだから、育て方をていねいに解説した本が欲しいよね」というのです。まさに! そんな本をつくろうと、作業の大詰めを迎えている最中のことでした。 

本書の特徴は、初心者でも失敗しないように春秋型を生育タイプのメインとして解説したこと。夏型や冬型の情報も補い、どの種類も育てられるように配慮しました。図鑑ページでも、入手可能な代表種90種以上を紹介しました。 

ユーフォルビアにこれほど多様な個性派がそろっているのには理由があります。定番の種類や個体がさし木などで維持される一方で、交配とタネからの栽培で、多様な姿の次世代が生まれやすくなっているからです。 

いま注目したいのは、日本の栽培家や愛好家がこれまで以上に交配に力を入れるようになっていること。今後、日本発の個性派ユーフォルビアがどんどん誕生してくることでしょう。たしかに「ユーフォルビアは来ている」のです。

 

*本インタビューは『趣味の園芸』2024年8月号に収載された記事を再構成したものです。

 

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靍岡秀明(つるおか・ひであき)

1972年、東京都生まれ。昭和5年創業の多肉植物・サボテンの老舗、鶴仙園の三代目。「サボテン愛」をモットーに、ていねいに栽培・管理した丈夫な株を販売する。近年、ハオルチア、アガベ、ユーフォルビアに力を入れており、販売している種の数は日本有数。

(撮影/田中雅也)

 

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NHK趣味の園芸 12か月栽培ナビNEO 多肉植物 ユーフォルビア

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人気上昇中の多肉植物・ユーフォルビアの品種や育て方を徹底解説! 人気種から希少種まで個性あふれる90種以上の品種を紹介するほか、各月に必要な作業、ふやし方や病気からの回復法など、ユーフォルビアを美しく育てる方法を丁寧にナビゲーション。多肉植物ファンやユーフォルビア愛好家必携の一冊。[著] 靍岡秀明

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