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〈もっと育てて!〉自称・栽培日本一の伊藤章太郎さんに聞くエキウムの魅力【私の植物偏愛記・9月号こぼれ話】

〈もっと育てて!〉自称・栽培日本一の伊藤章太郎さんに聞くエキウムの魅力【私の植物偏愛記・9月号こぼれ話】
(撮影/NP、田中雅也)

おなじみの講師の方々に、愛する植物を思う存分語っていただく連載「私の植物偏愛記」。『趣味の園芸』9月号では、栽培のできるバイヤーとして広範な知識とユニークな視点をもつ伊藤章太郎さんに「植物を生業とするきっかけとなった」というアガベについて語っていただきました。

ウェブだけで読めるこの「こぼれ話」では、「栽培に関しては、僕が日本一詳しい(たぶん)」という伊藤さんにエキウムの魅力をお聞きします。どうぞお見逃しなく!

 

そもそもエキウムって?

 

エキウムは、ムラサキ科の草本植物。すっと立ち上がった花穂に、小さな花をびっしりとつける花姿から「宝石の塔」と呼ばれる種類もあります。開花期は春~初夏です。

欧州の幅広い地域に分布し、マデイラ諸島やカナリー諸島などの離島に分布するものもあります。「欧州」といっても、とても広いですよね。エキウムが自生する環境もさまざまです。なので、種類によって性質は大きく異なり、二年草、多年草、さらには日本では一年草扱いになるものもあります。ひとまとめに「暑さ・寒さに弱い」といわれることもありますが、これも種類によります。

 

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「宝石の塔」と呼ばれるエキウム・ウィルドプレッティ。自生地のカナリー諸島での様子。(撮影/NP)

 

厳選! おすすめのエキウム

 

おもしろい種類はいろいろありますが、ぜひ育ててみてほしいのはこの3種類です。

 

①エキウム・ブルガレ 'ブルーベッター'

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エキウム・ブルガレ 'ブルーベッター'(撮影/NP)

 

草丈:60cm 株張り:60cm 耐暑性:30℃ほど 耐寒性:−20℃ほど

自生地では多年草ですが、日本の夏を越せないので一年草扱いの種類です。

タネや苗がほかの種類に比べると入手しやすく、花壇苗のような感覚で育てることができます。

植えどきは秋か早春です。開花苗よりも未開花苗を入手して植えつけるとよりしっかり育ちます。エキウム全種類に共通していえることですが、肥料好きな種類です。

 

②エキウム・カンディカンス

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エキウム・カンディカンス(撮影/NP)

 

草丈:2m 株張り:1.5m 耐暑性:40℃ほど 耐寒性:−1℃ほど

私がはじめて栽培した多年草のエキウムです(9月号p.144参照)。花穂が巨大で、開花するととにかく豪華!

霜があまり降りない地域なら地植えでも育てられますが、寒さに強くないので多くの人は鉢植えで育てることになると思います。水切れには注意してください。

カンディカンスのような木立性のエキウムは、茎が多いと花穂が小さくなることがあります。花後の6~7月ごろに数本を残して切るとよいです。冬以外なら植えつけ可能です。

 

③エキウム・ルシカム

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エキウム・ルシカム(写真提供/伊藤章太郎)

 

草丈:60cm 株張り:30cm 耐暑性:40℃ほど 耐寒性:−20℃ほど

多年系エキウムでは珍しい赤花。株張りはそれほど大きくならないので、鉢植えで育てるのにおすすめの種類です。

高い湿度は苦手なので、水もちのよい土に植えると夏に根腐れします。水はけのよい土に植えてください。植えつけ適期は秋か早春です。

 

エキウム栽培 3つのポイント

 

全種類に共通する栽培のポイントは次の3つ。しっかりおさえて、迫力ある花を咲かせてみてください!

 

①水はけのよい用土で植えつけを

エキウムを枯らしてしまう原因のほとんどは根腐れだと思っています。水はけのよい土で植えつければ、根腐れのリスクを減らすことができます。市販の草花用培養土などに、パーライトやゼオライトを10~20%ほど混ぜましょう。ざっくりでOKです!

 

②日当たりのよい場所で栽培

エキウムはどの種類も日光が大好き。なかなか難しいかもしれませんが、直射日光が6時間以上当たる場所が理想的です。

 

③蕾が上がる前の肥料切れに注意!

蕾が見える少し前から、急激に肥料を吸い上げます。その時期に葉色が薄くなったり黄色く変化したりする場合は、確実に肥料切れです。液肥などすぐに効く肥料を施してください。そのまま放置すると、花数が少なくなったり、蕾が開かず黒くなってその年は花を見られなかったりします。鉢植えは特に肥料切れしやすいので注意しましょう。

 

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伊藤章太郎(いとう・しょうたろう)

園芸研究家。愛知県を中心に活躍する。花き市場で生産者から仕入れるバイヤーであり、タネまきやさし木で生産を行う生産者でもある。オージープランツから山野草まで、ニッチで広範な植物を扱う。

(撮影/田中雅也)

 

『趣味の園芸』連載 「私の植物偏愛記」

本誌で活躍する講師のみなさんに、「愛好家」としてのお話を聞いていきます。「こんな植物が好きだったのか」と意外な側面を発見しつつ、植物に対する熱い思いもたっぷり教えてもらいましょう。

9月号掲載・第6回では、伊藤さんにアガベについてお話を伺いました。

上の写真は、ご自身の圃場にてアガベについて楽しそうに語ってくれた伊藤さん。「みんなの趣味の園芸」で募集したみなさんからの多肉植物の写真も、伊藤さんのコメントとともにご紹介しています。テキストでご覧ください!

 

『趣味の園芸』2024年9月号

 

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『趣味の園芸』2024年9月号

小さな庭でも宿根草特集〈うちにぴったり宿根草図鑑〉〈奥行き40cmでOK! 植栽プラン〉〈もっとやさしい宿根草の育て方〉〈シュウメイギク〉〈サルビア〉など。注目特集は秋のタネまき。好きな植物をタネでつなぎ、お気に入りの花を楽しみましょう。自分らしい庭をつくるポイント、夏越しで疲れた草花を秋にもうひと花咲かせる復活術、ボサボサに伸びた生け垣の剪定方法ほか。

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