【園芸LOVE 原田が行く】「あなたのバラ色はどんな色？」

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「あなたのバラ色はどんな色？」

　ずいぶん以前、「趣味の園芸」でおなじみのバラの園芸家、高木絢子さんを訪問したときの会話です。

高木さん「あなたのバラ色はどんな色ですか」
小生「ピンク色です……」
高木さん「男性には珍しいですね、女性的な感覚です」
小生「……」

　実はこの会話がずーっと気になっていました。そこで改めて高木さんに「バラ色」の件を尋ねてみました。すると高木さんは、当時、「バラ色」についていろいろな人に質問をしていたとのこと、その結果、男性は赤、女性はピンクという傾向だったのだそうです。

「バラ色の人生」「バラ色の暮らし」……というように、「バラ色」という形容は夢や希望に満ちあふれた、見通しが明るい状態を表すのに使われます。念のため、心理学的にはどうなのか、昔、読んだ岩井寛著『NHKブックス 色と形の深層心理』を引っ張り出してひも解くと、「赤は情熱の色」、「ピンク色は穢れなき期待を表す色」と出ていました。

　高木さんはさらに、「バラ色の認識は人それぞれのバラ体験も関係あるのではないか」とも語っていました。たとえば、「カルメン」で出てくるバラが赤だったり、加藤登紀子「百万本のバラ」で貧しい画家が女優に贈るのも真っ赤なバラだったり、という次第です。つまり、そうした体験からは「バラは赤」というイメージが残るのかもしれません。

　さて、美しい秋バラの季節です。冷涼な空気のなかでじっくりと咲く秋バラは、開花を待ち焦がれた5月のバラとは違った趣きがあります。「バラ色」談義に花を咲かせながらの秋バラ鑑賞――。皆さんにとってのバラ色はどんな色でしょうか？

（写真左）パパ・メイアン。黒バラの代表といわれるほど赤色が深い名花（1963年、フランスで作出。1988年に殿堂入り）
（写真中央）グレイス・ドゥ・モナコ。気品あふれるピンクのバラ。名花ピースが交配親（1956年、フランスで作出）
（写真右）「あなたのバラ色はどんな色？」。赤、ピンク、オレンジ、イエロー、白……、秋バラが咲き始めた（東京北区・旧古河庭園）

（元『趣味の園芸』編集長　原田）

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【園芸LOVE 原田が行く】は、「みんなの趣味の園芸」スタッフであり『趣味の園芸』テキスト元編集長の原田による園芸エッセイです。メールマガジンとFacebookページにも掲載しています。

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