「昔、黄色のアサガオがあったのです。江戸時代の図譜に記録されていますが、残念ながら今では失われてしまいました」――30年前、取材のとき、こう話していた園芸家・柳宗民さん(故人)を思い出すニュースが最近、ありました。10月初旬に報じられた「黄色のアサガオ、開花!」のニュースです。
柳さんの話で初めてその存在を知った黄色のアサガオですが、今回は遺伝子導入技術を使うことで開花しました。花を咲かせることに成功した基礎生物学研究所(愛知県岡崎市)助教の星野敦さんに早速、話を聞いてみました。
「アサガオのなかには‘右近’や‘月宮殿’といったクリーム色の系統があります。この系統はアサガオ本来の色、青の色素ができるメカニズムが働かず、クリーム色の色素が増えます。その系統のアサガオで研究用に育種した‘54Y’という系統に、オーロンという黄色の色素を作るキンギョソウ由来の遺伝子を組み込んだところ、黄色のアサガオが咲きました」(星野敦さん)
星野さんによれば、今回の黄色のアサガオは花色が決まる仕組みを解明する基礎研究の一環として、2002年から始まり、2007年から着手した遺伝子導入によって実現したとのことでした。
30年来、いつか見たいと願っていた黄色のアサガオ。遺伝子レベルの研究過程で咲かせた花とはいえ、江戸の「あさかほ叢」(文化14〈1817〉年)に描かれた絵と見比べていると、どこか園芸ロマンを感じる黄色のアサガオでした。
(写真左)平成の世で開花した黄色のアサガオ。花の色が濃い。江戸の黄色のアサガオもこのような花だったのだろうか(写真協力:基礎生物学研究所)
(写真中央)「あさかほ叢 上巻」(文化14〈1817〉年)に描かれた黄色のアサガオ(右ページ)(国立国会図書館デジタルコレクションより)
(写真右)黄色のアサガオの花(左)と元になったクリーム色のアサガオ‘54Y’の花。花色の濃度とともに、開き方もきれいになっている(写真協力:基礎生物学研究所)
(元『趣味の園芸』編集長 原田)
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<12月1日Facebookにて配信>
【園芸LOVE 原田が行く】は、「みんなの趣味の園芸」スタッフであり『趣味の園芸』テキスト元編集長の原田による園芸エッセイです。
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黄色い朝顔、見てました。博物館で書いてありました。
返信する本物があるのですね!変化朝顔にも、失われた系統があるそうです。やはり図録は残ってて…いつか作られる事があるのでしょうか?江戸時代サボテンがあった事におどろきました。園芸が盛んだったのですね!
チョコさま
返信する博物館に展示された「あさかほ叢」を見て以来、期待していました。
今回は遺伝子導入技術を使うことで花が再現されました。
図譜と見比べると、江戸時代、アサガオ愛好家が大切にした黄色の花もきっとこのような花だったのだろうと思います。
(原田)
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