第10回 厳しく育てるタンクブロメリア ― 今、熱い植物アーカイブ
日本ではパイナップル科、アナナス科などと呼ばれる植物は、近年では学名のBromeliaceaeからブロメリア科などとも呼ばれることがふえてきた。人気のティランジアもブロメリア科の植物だ。それとともに、ティランジア以外のブロメリア科植物もポピュラーになり、「ブロメリア植物」あるいは単に「ブロメリア」などと呼ぶことも多い。ブロメリア科の植物を多く栽培している、藤川史雄さんはいう。
「ティランジアを除くブロメリア科の植物を生活形態で大きく2つに分けると、グラウンドブロメリアとタンクブロメリアに分けることができる。グラウンドはその名のとおり、多くの植物同様、地面に根を張って生きているブロメリア。タンクの多くは樹木や岩壁などに着生するタイプ。株の真ん中が筒状の空洞になっていて、この部分が雨水をためるタンクの役割を果たすことから、タンクブロメリアと呼ばれているんだ」
このうち最近人気が出ているのがタンクブロメリアだ。以前から「アナナス」と呼ばれて流通している植物もこの仲間だが、今ではより多彩な種類が出回るようになっている。かつてのアナナスはトロピカルな赤い葉や、エキゾチックな花が見どころだったが、今は渋い葉色や重厚な株姿のタイプも好まれている。
「なかでもおすすめしたいのが、ホヘンベルギアやビルベルギアなど硬葉タイプ(*)。よく日に当てて、水や肥料を控えめにして育てることで、株姿や模様など、その種類の特徴がよく出るんだ。もともと多肉植物が好きで、そういう育て方で締めてつくるのをよくやっていたせいもあるかもしれないけど、個性を引き出すならやっぱりこのやり方だね」
*硬葉タイプのほかに、フリーセアに代表される軟葉タイプもある。こちらは、比較的光が弱く、湿潤な場所を好むので、春から秋は40~50%の遮光をして育てる。
藤川史雄(ふじかわ・ふみお)
園芸家。神奈川県で、ブロメリア科植物や多肉植物の栽培を行うスピーシーズナーサリーを経営。
撮影/田中雅也 編集/土屋 悟 撮影協力/スピーシーズナーサリー
『NHK趣味の園芸』テキスト大好評連載「今、熱い植物」アーカイブ
この記事は『趣味の園芸』2018年1月号「今、熱い植物」を編集、抜粋したものです。
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